GrandMap Navi Map Data編(2)
マップネット社から11月1日より、発売が開始されたMio 168専用音声ガイド付きナビゲーションソフト「グランマップ・ナビ」の詳細レポートを、今日もお届けする。前回、グランマップ・ナビに搭載されている、住友電工製の電子地図データをメインに紹介した「GrandMap Navi Map Data編(1)」の続報をレポートする。
基本的に、グランマップ・ナビに採用された、住友電工による電子地図データは、「拡張全国デジタル道路地図データベース」であるため、ルート検索やナビゲーションに必要な、道路地図データである。つまり、パソコン用やPDA用の電子地図データが、汎用性の高い電子地図データを用いているのに対して、グランマップ・ナビでは道路地図データに、必要最低限のPOI情報と、注記を付加しただけの簡素な形態だ。
他の電子地図データでは、日本の電子地図特有とも言うべき、ポリゴン表示によるビルや家なので形状を表示する、「家形図」が少なからず表示される。これに対して、グランマップ・ナビの住友電工製道路地図データでは、ポリゴン表示による家形図は、駅や公的施設以外は、一切表示されない。公園や池などの、必要最低限のポリゴン表示はされるが、逆にポリゴン表示のアイテムが少ない為、スクロールや再描画の速度も高速になっており、なにより256MBのMMCへ、日本全国の道路地図データやPOI情報が、収録可能になっていると言えるだろう。
ちなみに、海外の電子地図データでは、グランマップ・ナビ(住友電工の道路地図データ)のような、簡素な表示の電子地図ソフトが殆どであり、日本特有の家形図表示は皆無と言ってもよいだろう。海外の、GIS関連や、地図関係者に、日本の家形図表示を見せると、「プライバシー侵害で訴えられる!」と驚く。つまり、公的な施設以外の家形図表示は、日本特有の地図情報と考えてよいだろう。
前回は、秋葉原駅を中心としたグランマップ・ナビの全縮尺の地図データを紹介したが、今回は他の地域の地図データを何点か紹介しておく。
トップメニューより「(2)駅検索」で、北海道の札幌を選んで見た。JR札幌駅や、地下鉄さっぽろ駅が、それぞれ二つ表示されているのは、改札口や出口によって、表示の中心地を選べるようになっているからであり、バグでは無い。横スクロールバーをスライドさせることで、異なった改札口や、出口の表示が見えてくる。
ちなみに、新宿や渋谷、東京などの複数の改札口や出口を持つ駅では、その数だけ同じ駅名が表示される。出来れば、駅名の後に略称で(N)(北口)とか、(C)(中央口)とかを付加してくれると、横スクロール操作無しでも、判別可能になるのではないかと思う。
また、上下スクロールは、下段に表示されている(↑)アイコンと、(↓)アイコンのタップによって行うのだが、ページスクロールのみの動作であるため、同じ駅名が複数表示される場合、上下のページ切り替えを何度が行わないといけない。これは、駅名表示ウィンドウにも縦スクロールバーを表示し、微調整のスクロールが可能にして欲しいところだ。
北海道札幌駅周辺の500mスケールと、別レイヤとなる1Kmスケールの表示例。500mスケール表示(左)では、POIの注記が多く、醜い表示となっているが、POIや注記は設定によって、ジャンル別に非表示とすることが可能だ。今回は、サンプルと言う意味で、デフォルト設定である、全てのPOIと、注記を表示させている。
沖縄県那覇市周辺の500mスケール表示と、別レイヤ表示で2Kmスケールの表示例。沖縄県には、鉄道が存在しないので、駅名検索では表示できない為、住所検索による地名で表示させた。那覇のどの住所が中心地なのかが、筆者にもわからなかったので、適当に表示させてみた。こういった、地名住所が不明な時、前回指摘したような、検索表示よりもビジュアルな、実際の地図表示による絞込みが便利なので、是非とも広域表示からのズームを可能にして欲しい。
グランマップ・ナビが持つ、他の電子地図に無い特徴である、英語・中国語表示(音声)機能であるが、トップメニューはグラフィック表示である為、英語はもちろんだが、中国語も正しい表示がされている。トップメニューから選ぶ、サブメニューの表示も、グラフィックなので、中国語は正しい表示が行われる。
ただし、設定画面などのより深い階層の画面では、中国語キャラクタ・フォントをもっていない日本語版Pocket PCなので、中国語表示を設定していても、表示は全て英語表示となる。しかし、操作ガイドは中国語で発声される。これは、地図表示に表示される注記の場合、中国語設定であっても、日本語表示の注記のままとなってしまう。
しかし、英語表示設定では、驚いたことに、地図表示の注記も、全てがローマ字表記に切り替わってくれる。これは、業務用の電子地図を別とすれば、コンシューマ用の日本の電子地図ソフトでは、初めての快挙だ。印刷された紙地図では、海外からの旅行者向けに、ローマ字表記による日本の地図は存在しているが、電子地図では注記のローマ字化は、海外からの観光旅行者に対して、大きな助けになるだろう。
しかし、中国語表示に設定した場合、POIや注記の表記が、日本語のままでは、仮名表示やカタカナ表示の地名を、いくら同じ漢字の国とは言え、中国の方が判読できるとは思えないのだが、いかがだろうか。むしろ、ローマ字表記に、中国語設定の場合も切り替える方が、親切ではないかと筆者は思う。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント