Mobile PRESS 2005冬号、脱稿
技術評論社、「Mobile PRESS」2005年冬号の執筆を脱稿した。筆者としては、足掛け8年間続けた連載も、今回が最後の記事となり、連載は本号を持って終わる。1997年12月号からの連載であったが、その間にMobile PRESS誌も、月刊から季刊へと移行したり、筆者の連載タイトルも変更したりもしたが、一環して連載のテーマは、「GPS」と「電子地図ソフト」だった。
連載開始当時は、GPS自体がマイナーでもあったり、電子地図ソフトもGPSに対応していなかった製品もあった。当時から比べると、市販されているGPS受信機の数は、比べ物にならない程、多種多様になっており、選ぶのに苦労する程にまで、市場へ投入されている。加えて、GPS内蔵の携帯電話も普及しており、もはやGPSはマイナーでは無くなったと言っても過言ではない。
電子地図ソフトも、その殆どがGPS対応しており、機能の差こそあるが、電子地図ソフトの付加機能には、GPSは不可欠なアイテムになっている。パソコンGPS用のキラーアプリとしては、カーナビ機能を兼ね備えた、今は亡きソニーの「Navin'You」が、やはり存在価値としては、特筆できる電子地図ソフトだった。
しかし、時代の流れなのだろうか、或いはカーナビ専用機との問題だったのか、ソニーはNavin'Youを葬り去ってしまったのは、今でも残念に思う。ただ、市販カーナビと比べた場合の、パソコンGPSの弱点と、専用カーナビの進化スピードを見ると、もはやWindows 2000やWindows XPベースのパソコンでは、使いにくさが目立ちすぎるのも、これまた事実だろう。
専用カーナビは、車のキーを回すと同時に起動し、車を止めればカーナビも停止し、再び走行を始めればカーナビも再開する。これに対して、Windowsパソコンでは、再起動やサスペンド、復帰動作、GPSのリセットなどと、問題も多い上に地図データの陳腐化なども、専用カーナビには大きな差をつけられている。
とはいえ、専用カーナビが普及しているのは、日本特有の市場現象であり、他の国においては、全くカーナビそのものの普及率は低い。特に、欧州では、いまやカーナビといえば、PDAとGPSをイメージするまでに、成長している。つまり、「PDA-GPS」がカーナビ市場のシェアを大きく占めているのだ。
このPDA-GPSによるカーナビでの、トップシェアを持っているのが、日本でもGPS内蔵PDAを販売している、MiTAC社だ。事実、それまではPDA市場で無名だった、MiTAC社の昨年のPocket PCの全世界シェアでは、なんといきなり第四位になったのは、その殆どが欧州でのカーナビ市場向けPDA-GPSでの売り上げだ。
そんな、MiTAC社も、日本向けにナビゲーションが可能となるMioMap日本版を発売予定だし、既報のように、マップネット社からもグランマップ・ナビが登場する。これらの、PDA-GPS用キラーアプリが登場することで、Pocket PCを初めとするPDAでのGPS利用も活性化することを願いたい。
ハンディGPS受信機では、自分で作成したソフトを実行することができないが、Pocket PCなどのPDAであれば、ユーザが自由にプログラミングを載せることが可能だ。これは、GPS内蔵携帯電話も、ユーザが自由にソフトを組めないので、ハンディGPSと似たりよったりである。やはり、ユーザの自由度が高い、PDA-GPSにメリットがあると感じるのは、筆者だけではないと思うが、いかがだろうか。
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コメント
思えば、ロカティオとか先駆的なハードはあったにも
関わらず、時代を先取りしすぎて振るわなかった
例から数年、今は段々何が必要なのかを絞りこんで
作れるようになったのですから、いい時代になったと
思わざるを得ません。が、逆になぜもっと早く実現
出来なかったのかと悔やまれてなりません(^^;
PDAのGPSの未来は明るそうですが、
まだまだ障害は残ってそうですね。地図の問題とか
処理速度とか色々と・・・
とりあえずMioMapに期待大です。
投稿: ねこまる | 2004年11月21日 01:23
はじめまして。tantanと申します。
長期の連載、お疲れ様でした。
私は清水さんの書かれた「MobilePRESS」での記事や、著作の「GPSマニアックス」を読んで、GPSの世界に惹かれました。
とても魅力的な情報をありがとうございます。
触発されてMio168も購入し、わくわくしながら使っています(^^)
こちらのブログでもソフトの最新情報や使いこなしなど、いつも興味深い記事が多く、楽しみに拝見しております。
今後とも更なる面白い記事を期待しています!!
投稿: tantan | 2004年11月21日 20:52
ねこまるさん、こんばんは
そうですねぇ~ ロカティオの特に初代は、良かったですね。あの合体メカ、今でも最新のパーツ(GPS、デジカメ、PHS、液晶、CPU)とOSへ変更してやれば、結構買いなPDAなんですけどね。
ソフトウェア(特にOS)がクローズドで、ユーザの介入を許さなかったのが、最大の問題点だったと思ってます。それと、ネットワークもEPSONだけだったし・・・ユーザの囲い込みを許す製品(携帯のiモードなど)ユーザと、そうでないユーザが居ますから、難しいジャンルですよね。
MioMapもMio専用なので、Mio 168の後継機種(他社のPDAは、既に2003SE/VGAなどに移ってます)にもよりますね。いくらソフトが良くても、Mio 168だけでは、製品ラインが貧弱すぎます。これが最大の不安点です。
私も、次期PDAとしては、hx4700日本語版に傾いていますので(苦笑)。
投稿: 清水 隆夫 | 2004年11月21日 20:59
tantanさん、こんばんは、拙著の連載や、書籍のご購読、ありがとうございます。読者さんあってのライターですので、お褒め頂まして恐縮です。
GPS関連は、私のライター・エンジニア業にとって、ライフワーク的になってしまっていますので、今後も引き続き追いかけていきたいと思っております。新しい書籍の準備などもしておりますので、ご期待ください(気長にお待ちくださいかな?)。
今後も、このBlogやGPSページの方で、Mobile PRESSの連載の続きのような感じで、引き続きGPSネタもお届けいたしますので、引き続き応援を、よろしくお願い申し上げます。
お言葉、本当にありがとうございました。有難くお言葉、頂きました。(^O^)
投稿: 清水 隆夫 | 2004年11月21日 21:07
こんばんは。FGPSでは色々質問にお答え頂きましたこば@道産子です。
突然の脱稿には驚きましたが,連載お疲れ様でした。
清水さんの連載ネタにはめられ(?),
GPSを買っていたので寂しい限りです。
私も先の方と一緒でロカティオから始まり,
今はeTrexVistaJとCaplioProCFGPS2で落ち着いています。
Mobile PRESSは時々読み返していたので,もう清水さんの連載がなくなるのはさびしいですね。
(自分の買った物のレビューってなんか嬉しいじゃないですか)
これからはネットでの情報楽しみにしています。
投稿: こば@道産子 | 2004年11月23日 19:10
黄色表紙の著者二番目です。
MioMapの単品売りは、検討はしているとのことでした。(@旧商船大イベント)
PocketMappleの視認性と操作性は、全然進歩が無くて、毎回ガッカリしています。そろそろ競合品が出て欲しいものです。
二輪も変えたので、4150の設置方法ももう少し工夫しないとダメ。SPA購入の防水袋入れっぱなしだと、晴天時にてかって見難いし。
最近は、紙地図....昭文社ノポ....を常用しています。あの程度の画面があればなぁ。
投稿: 大河内 | 2004年11月23日 21:59
こば@道産子さん、ご無沙汰しております。
Mobile PRESS連載終了は、まぁ潮時でしょう(苦笑)。物事、引き際が肝心ですので、何時までもだらだらと続けているのはねぇ~ (笑)
連載中は、物欲に火をつけて、挙句に背中を押してしまったようで、ライター冥利につきる、お言葉(苦笑)、ありがとうございます。今後は、財布の中身が増えるとよいですね(笑)。
今後は、このBlogなどで情報を発信していきますが、既に容量を半分以上使いきってしまっているので、適当なタイミングで、無料Blogサイトへ引越しをすることになる予定です。
#脱@nifty!、Exodus @nifty Projectを実行中(爆笑)
投稿: 清水 隆夫 | 2004年11月23日 23:37
大河内さん、こんばんは、元気ですかぁ~?
Mio Mapの単品販売は、MiTACさんから聞いております。まぁMioシリーズ専用ということなので、他社のPocket PCで動作するのかどうかは、評価してみないとなんともいえませんけどね。
Pocekt Mapple Digitalは、地図データとしては、詳細な都市データを収録しているので、まぁ用途次第じゃないでしょうか。Mio Mapのデータも、ゼンリンの道路地図がベースですので、Navin'You並みと言ったところです。
グランマップ・ナビは、簡素なデータですが、マップネット社は、大都市の詳細な家形図データなども持っているので、それをオプション販売してくれれば、それなりに使える気もしました。
2輪買い替えですか? BMW売っちまったんですか? まぁ、Pocket PCのQVGA画面だと、正直な話、地図表示はキツイです。私もhx4700を狙っていたのですが、19インチTFTモニターを買っちまったので、予算が無くなったので・・・貧乏ライターは辛い(涙)
#時間があれば、お茶でもしましょうよ。またよろしくです~
投稿: 清水 隆夫 | 2004年11月23日 23:46