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2005年10月22日

デジタルマップフェア2005

 10月20日、21日に東京港区(浜松町)にある、東京都立産業貿易センターで開催されていた「(財)日本地図センター」主催による、「デジタルマップフェア2005」を取材してきた。デジタルマップと言っても、民生用の電子地図ソフトではなく、主にGIS(Geographic Information System)関連の展示会だ。

デジタルマップフェア2005 1

 もちろん、コンシューマ向けの電子地図ソフトを製品化している、大手の地図メーカである、ゼンリン昭文社といったところは、GIS向けの電子地図も手がけているので、今回の展示会にも出展している。しかし、昨年経営破綻してしまい、今はYahoo!傘下になってしまった、アルプス社のブースは無く、過去にはGISの一翼を担っていたマップインフォ社の日本代理店だったアルプス社であるが、今後はYahoo!の地図部門に専念してしまうのだろうか。

デジタルマップフェア2005 2

 昭文社のブースでは、日頃我々が目にする「Super Mapple Digital Ver.6」のGIS向け地図データをメインに展示していた。GIS向けと言っても、その地図データの基本は、Super Mapple Digitalのデータと何ら変わらない。しかし、GIS用に地図データのレイア化が行われているので、不要なデータレイヤを瞬時に表示を消したり、必要な注記レイヤだけを表示したりと、プロニーズにあったデータの最適化と分類が行われている。
 また、目に見える地図データの他に、道路ネットワークデータや、徒歩によるルーティングデータなども提供されており、これを利用することで、カーナビゲーション用や、徒歩によるナビゲーションシステムを構築することもできる。

デジタルマップフェア2005 3

 昭文社のブースの一角に、日本の大手、測量機器メーカであるソキア社(旧、測機舎)の展示があった。そこには、筆者も愛用するリコーの「Caplio Pro G3」や、Pocket PC、ソニーのBluetooth GPS受信機などが展示されていた。ソキアの担当者の方に、お話を伺うと、「SDR Image Pocket」と言うSuper Mapple Digitalを用いた、位置情報管理システムとのこと。
 実際に、このシステムを応用して、一年前に発生した中越地震の災害現場管理などで、大きな活躍をしたとのこと。実際に、その現場の写真を、Caplio Pro G3とGPS受信機の組合せによって取得した、Exif GPS情報が付加された画像を、Super Mapple Digitalで管理している様子も、見せていただけた。
 筆者も、GPSシステムでは、デジタルカメラとPocket PC(PDA)による連携が、今後の位置情報システムでは、必ず主役になると考えていたが、そのシステムは既に現実に活躍していたのだ。今後は、業務用だけではなく、コンシューマ向けにも、こういったシステムの応用製品が、必ず出てくるのも時間の問題だけだろう。

デジタルマップフェア2005 4

 GIS業務用のプロフェッショナル用GPS受信機を製品化している、業務用GPS受信機の老舗であるTrimble社(ニコン・トリンブル)の展示ブースでは、普段我々があまり目にする機会の無い、業務用GPS受信機を多数、展示していたので、紹介しておこう。

デジタルマップフェア2005 5

 左から、「GPS Pathfinder ProXH」、「Trimble Recon」(中)、「Trimble Recon GPS Card Edition](右)。GPS Pathfinder ProXHは、Bluetooth GPS受信機であり、表示装置は持っていないのだが、コンシューマ向けとは異なり、「H-Star」技術による後処理エンジンを内蔵している。H-Starを用いることにより、リアルタイム処理ではないが、誤差1cmというコンシューマ向けGPS受信機とは桁違いの精度を得ることが可能だ。
 Reconは、GPS受信機は内蔵されていないPocket PCである。OSは、Windows Mobile 2003が搭載されており、400MHzのPXA250を搭載し、64MBのメインメモリと128MBのフラッシュメモリを内蔵している。拡張スロットはCFタイプ1とタイプ2の2スロット構成で、CFスロットは完全防水されているのが特徴だ。
 Recon GPS Cardは、Reconのタイプ1CFスロットへ、専用のCF型GPS受信機を搭載したモデルだ。基本性能はReconに準ずるがCPUはPXA255の200MHzとなり、内蔵フラッシュメモリの容量が64MBとなる。CFスロットへ装着されているGPS受信機も、本体と合わせて完全防水されている。
 3機種とも強固な防水と長時間運用が可能なバッテリなど、コンシューマ用としても欲しくなるようなヘビーデューティ仕様である。

デジタルマップフェア2005 6

 GeoXTは、一見Pocket PCにも見えるが、Windows CE.NET(Ver.4.2)を搭載したGPS専用端末である。写真では、クレードルに載せてある状態なのだが、大型のGPSアンテナは、見るからにプロ用という頼もしい姿だ。
 実際に手にしてみると、その重量は見た目よりも軽く感じたが、スペックでは720g(電池込み)と、かなりの重量である。完全防水ではないが、防滴構造になっており、雨などの天候でも、問題なく使用が可能だと言う。

デジタルマップフェア2005 7

 GeoXTには、もちろんBluetoothも内蔵されており、コネクタ部分の防滴キャップを外すことなく、データ転送が行える。基本スペックは、206MHzのStrongArmプロセッサに、64MBのメインメモリ、そして512MBの内蔵フラッシュメモリを装備している。
 ちなみに、展示はされていなかったが、上位機種となる「GeoXH」モデルでは、Windows Mobile 5.0を搭載し、416MHzのPAX270プロセッサ、64MBのメインメモリ、512MBのフラッシュメモリ内蔵となり、Pathfinder ProXHへ搭載されているH-Starがサポートされるため、後処理ではあるが、誤差1cmでの測位精度となる。
 加えて、紹介したTrimble社のGPS受信機には、全てWAAS対応のD-GPSがサポートされている。また、H-Star機能をサポートしているGPS受信機受信機では、強力なマルチパス除去装置も内蔵されているので、都心部でのビルによるマルチパスなどに影響されにくくなっているのも、業務用のプロフェッショナルGPS受信機ならではと言えるだろう。
 機会があれば、一度は使ってみたいプロフェッショナルGPS受信機だが、価格もコンシューマ用とは桁が異なるので、おいそれと購入する事は出来ないのが残念だ。

デジタルマップフェア2005 8

 今回の展示会で、唯一コンシューマ向けの、しかもPocket PCベースのアプリケーションを展示していたのは、DGSコンピュータ社だ。その名も「道祖神」という、オフロードのナビゲーション専用ソフトウェアという製品だ。
 道祖神は、電子地図ビューアの機能と共に、その地図に対して情報を記入できる機能、そしてGPS受信機による現在位置表示と、電子地図ソフトであれば、当たり前の機能を持っているのだが、市販の電子地図ソフトと大きく違う点は、国土地理院の数値地図25000や数値地図20000が使用できる点だ。

デジタルマップフェア2005 9

 国土地理院の数値地図データは、地域ごとに分割されているのだが、道祖神を用いれば、これらの分割されている数値地図データを、隣接地域を結合した地図データとして使用することも出来る。また、数値地図での簡易ナビゲーション機能を実現している点は、オフロードでの使用を考えると、一般的な道路ナビゲーション用ソフトウェアと大きく異なっている部分だ。
 また、道祖神では、Windows XP/2000のデスクトップPCへ2台、Windows Mobile 2003 Second EditionのPocket PCへ1台のインストールライセンスが含まれているので、デスクトップ版の道祖神によって、出かける前や後のデータ管理を行い、アウトドアにおいては、inView N-911Mio 168RS等のPocket PC 2003SE+GPS受信機による、リアルタイムでのナビゲーションという使い方が可能だ。
 Windows XP/2000のパソコンは、一方をデスクトップPC、もう一方をノートPCにインストールし、ノートPCによる移動端末として、GPS受信機と連携させる使用も可能になっているので、3端末(内一台はPocket PC 2003専用)へのインストールライセンスになっている。価格は、3ライセンスを含んで32,000円となっているので、端末あたりの価格は1万円を切っているため、コンシューマ向けの製品として妥当な価格なのも嬉しいところだ。機会があれば、是非、筆者も道祖神を試用してみたいと思っている。

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