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2006年2月25日

THALES MobileMapper Pro

 先日、「パソコンGPSショップ」の「SPA」で販売が開始された、THALES NAVIGATION社のプロ用ハンディGPS受信機である「MobileMapper Pro」を、SPAのご厚意でいじらせてもらった。さすがに、高価な業務用のハンディGPS受信機なので、筆者も簡単に購入する訳にもいかず、SPAのオフィスへお邪魔してのレポートだ。
 THALES NAVIGATION社は、GPS受信機の老舗である、Magellan社を傘下にもつ、業務用の主にGIS向けである、サブメートル測位が可能なGPS受信機を製造販売しているメーカである。元々、THALES社は、航空関係の電子機器システムメーカだったのだが、業務用GPS関連のMagellan社やAshtech社を買収して、業務用のGPSメーカとしては、最大規模の会社となったメーカである。
MobileMapper_1 サブメートル測位は、文字通りの測位誤差1メートル以下を実現するGPS受信機であり、今回紹介するMobileMapper Proも、その1メートル以下の測位精度を持ったハンディGPS受信機だ。
 ただし、1メートルの誤差精度というのは、リアルタイムでの測位精度ではなく、後処理によって得られる測位精度なので、リアルタイムでの測位精度は、通常の我々が使用する、コンシューマ向けの安価なGPS受信機と殆ど同じ10メートル以下の誤差となる。
 無論、D-GPSとしてはRTCM-SC104はもちろんのこと、WAAS(MSAS)にも対応しているので、MTSAT-2の打上げによって、先に打上が完了して、現在「ひまわり6号」として稼働中に、MTSAT-1Rと共に、「ひまわり7号」となったMTSAT-2が稼働を開始すれば、国内でもMSASによる安定したD-GPSが使用可能になるだろう。
 さて、今回SPAで販売を開始したMobileMapper Proは、パッケージは英語版のままであるが、ファームウェアは、日本語化されたファームを搭載しており、MobileMapper Pro日本語版と言った方がよいだろう。
 搭載されている液晶ディスプレイは、カラーの液晶画面でカラフルな地図表示も行えるようになっている。この地図データは、GIS向け業界のデファクト・データフォーマットである、Shape File形式に対応しているので、ESRI社のArcGISなどで使用している地図データであれば、そのままMobileMapper Proへ転送して使用することが出来るようだ。

MobileMapper_2

 MobileMapper Proの液晶画面は、Pocket PCのようなタッチパネルではなく、純粋に表示機能だけを持ったディスプレイだ。MobileMapper Proの操作は、装備されているボタンのみで行い、この点ではGARMIN社のハンディGPS受信機受信機と全く同じと考えてよい。
 無論、業務用のハンディGPS受信機であるMobileMapper Proは、完全な防滴防塵構造となっており、背面にある電池ボックスの蓋なども、きっちりとしたゴムパッキンが装備されており、雨中などの悪天候でも使用することが可能だ。
 MobileMapper Proのボディは、滑り止めのラバーが裏面と側面を覆い、前面のみが濃いネービーブルーのプラスチックだ。使用する乾電池は、単三型が2本となっているが、一般のアルカリ単三電池でも動作可能だが、消費電力が大きいので、短時間しか動作しない。実際の業務使用であれば、リチウムの単三電池を用いて、8時間~10時間の動作だと言う。

MobileMapper_3

 MobileMapper Proの操作は、GARMIN社のハンディGPS受信機と良く似ており、初めての操作だった筆者でも、マニュアルを読むことなくMobileMapper Proを難なく操作することが出来た。コンシューマ用のGPS受信機においては、精度よりも測位速度や感度が重視される傾向があり、どちらかというと測位誤差をあまり気にしない使用が多いので、MobileMapper Proの感度や測位速度が気になるところだろう。
 正直なところ、感度や測位速度の面では、最新のハンディGPS受信機やPDA-GPSマシンに比べて、決して測位速度は早く無い(むしろ遅い)し、感度も同じ程度である。しかし、得られる測位誤差は、後処理を行うことによって1/10と桁違いに誤差が減るので、ハンディGPS受信機の価格は10倍であるが、精度も10倍となる訳だ。
 この後処理によって測位誤差を、MobileMapper Proで補正するには、国土地理院電子基準点観測データを利用し、MobileMapper Proに標準添付される後処理用ソフトウェアによって、誤差を補正する。D-GPSWAASによる誤差補正が、リアルタイムの誤差補正なの対して、後処理補正は文字通りの事後処理補正を行う。
 測量用のミリオーダが可能なGPS受信機もあるが、やはり測位時間や感度という面では、コンシューマ向けのGPS受信機の方がカタログスペックでは上だ。しかし、より高い精度を必要とする業務向けで、かつ手軽に持ち運べるハンディ型のMobileMapper Proは、使い勝手では、コンシューマ向けのハンディGPS受信機となんら変わるところが無い。
 ちょうど、手軽にだれでも使えるコンパクトデジカメと、プロ用の高級デジタル一眼レフカメラとの対比に例えればよいだろうか。いずれ、デジタルカメラと同様、高級デジタル一眼レフカメラの機能が、コンパクトデジカメに取り込まれた様に、我々の手にするハンディGPS受信機にも、MobileMapper Proの様な機能が組み込まれることを期待したいが、それは未だ未だ先の事だろう。

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コメント

これはちょっと高すぎて買えません。
ところでSPAさんでコメットCF/3の
(Holux GM-271のようですが)
予約が始まったようですが、清水さんのところ
にはレビュー依頼が来てないですかね?
HoluxのHPにも記載されていないから
まだものがないのかもしれませんが?
(そのわりにはeBayとかで売っている?)

CFカードSirfIII型のものが欲しいんですが
感度向上度合いとバッテリ上がりが心配です。
今持っている某I社のものは、外部アンテナでも
家の中では補足が無理だし・・・
青歯+SirfIIIでTELEC認証されているのが
一番良いのですが・・・

投稿: pepsiman_koza | 2006年3月10日 21:23

pepsiman_kozaさん、こんばんは、

コメットCF/3こと、GM-271は、SPAへ発注を済ませています。WAAS対応のイオ111(新PGM-111)と合わせて、入荷次第にレポートをお届けしますので、今しばらくお待ち下さい。

この二つのGPSは、予約特価ということで、通常販売に移行すると、現状のイオ111と、コメットCF/LPの価格と同じになるそうです。

#トピックとして書いたのですが、ココログのメンテ&トラブルで・・・ 今、再度書いておりますので、後でアップしますね。

Bluetooth GPSの方は、SiRF IIIのe/LPタイプが潤沢になるまで、待った方がいいかもしれませんね。かなり消費電流が多いので、電池稼働とパワーセーブの兼ね合いが、製品のポイントにもなるみたいです。

投稿: 清水 隆夫 | 2006年3月10日 21:57

楽しみに待ってまーす。 (^o^)

投稿: pepsiman_koza | 2006年3月10日 22:05

>pepsiman_kozaさん、

了解で~す。入荷までしばらくお待ち下さ~い。 (^O^)

#今月(も)出費が多い・・・ 「ぽちっ!」とやり過ぎ・・・

投稿: 清水 隆夫 | 2006年3月11日 01:20

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