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2006年6月 3日

SONY VGP-BGU1 (後編)

 前編に引き続き、筆者の購入したソニー製のBluetooth GPS受信機ユニットVGP-BGU1」を、実際に測位を行い運用してみたので、そのレポートをお届けする。充電の終了したVGP-BGU1の電源スイッチをオンにすると、三つのLEDが全て二度点滅した後、Bluetoothの動作LEDだけが、青く点灯し続ける。
 この状態で、ノートPC側のBluetoothマネージャを起動し、VGP-BGU1とペアリングを行うのだが、VGP-BGU1に付属するマニュアルには、「VAIO NOTE type U VGN-UX50」に搭載されている、東芝製Bluetoothマネージャでペアリングの方法が記載されている。 

Bgu1_01

 ここでは、同じ東芝製Bluetoothマネージャによるペアリングではなく、先日アップデートを行ったBlueSoleilバージョン「2.1.3.0 Release 060429」でのペアリング方法を紹介しておこう。基本的には、東芝製のBluetoothマネージャと同じなのだが、別のBluetoothマネージャでも問題なくVGP-BGU1が使用可能なことを検証してみる目的もある。

Bgu1_1

 電源を投入し、VGP-BGU1の青いLEDが点灯している状態で、BlueSoleilバージョン「2.1.3.0 Release 060429」を起動してデバイスサーチを行うと、VGP-BGU1が発見される。この状態で、BlueSoleilVGP-BGU1のペアリングを選択すると、パソコンの画面上に、パスキー(PINコード)の入力画面が表示される。 

Bgu1_2

 VGP-BGU1のパスキーは「2006」なので、この値をパスキーとして入力すると、ペアリングが完了する。ペアリングが完了した段階で、BlueSoleilから接続を行うのだが、接続プロファイルは「SPP」によるシリアル接続となる。
 BlueSoleilと接続が完了すると、VGP-BGU1の充電LED(橙)が二回点滅し、Bluetoothの青いLEDも点滅状態となり、接続状態を示す。

Bgu1_3

 PCとのBluetooth接続が完了すると同時に、VGP-BGU1GPS作動LED(緑)も点滅を開始し、ここではじめてGPS受信機が作動し始めるのだ。つまり、VGP-BGU1の電源スイッチを入れただけでは、GPS受信機部分が稼働をしておらず、当然測位も開始していない。Bluetoothのペアリングされたパソコンから、リンク(接続)されて始めてGPS受信が起動し、測位を開始するわけだ。
 筆者の所有する、他のBluetooth GPS受信機では、Bluetoothの接続状態に関わらず、GPS受信機も同時に稼働を始め、測位を開始するのだが、VGP-BGU1の場合には大きくこの部分が異なっている。無論、Bluetoothのリンクが切れてしまった場合(電波状態や距離、障害物などによってリンクが切れる)、GPS受信機の動作も停止してしまうようだ(少なくとも、GPS作動LEDの表示では、そう見える)。

Bgu1_4

 VGP-BGU1に搭載されているGPSエンジンは、以前に筆者が紹介した台湾POLSTARの「PGM-238」(パソコンGPSショップSPA」での販売名は「イオ111w」)と同じ、ソニー製の「CXD2951GA-4」が搭載されている。そこで、PGM-238の評価で使用した、POLSTAR製のGPSユーティリティを用いてみた。
 VGP-BGU1に装備されているGPS作動LED(緑)は、GPS衛星を捕捉中の未測位状態は点滅だが、測位を開始すると点滅から常時点灯へと変化するので、VGP-BGU1が測位中かどうかは、このGPS作動LEDの点滅状態で判断できる。
 BlueSoleilSPP接続でアサインされたCOMポート(この場合はCOM4)を、ユーティリティから開いてやると、VGP-BGU1から出力されてくる、NMEAデータが表示されると共に、GPS衛星の信号強度や天空図なども表示される。また、このPOLSTAR製のGPSユーティリティは、VGP-BGU1に対してコマンドを送出できるので、重宝するだろう。

クリックで拡大ポップアップ Bgu1_5

 無論、他のGPS受信機同様Windows XPに標準搭載されている、「ハイパーターミナル」でも、VGP-BGU1から出力されてくるNMEAデータの表示や、VGP-BGU1に対してコマンドを送出することも可能だ。上の例では、「@CD」コマンドを送り、VGP-BGU1をコールドスタートさせた状態の画面ショットだ。
 VGP-BGU1のコマンドは、この他に「@WA」(WAAS機能オン)や、測地系の切替「@SK」、測位フィルタのモードを切り替え歩行時に適した測位を行う「@WLK」、ローパワーモードの「@PLM」など、イオ111wことPGM-238と全く同じに、受け付ける事を確認できた。ちなみに、現在MTSAT-1によるWAASの実験運用が、定期的に実験されているのだが、残念ながら試験モードであるため、VGP-BGU1ではWAASMTSAT-1)を認識できない(イオ111w/PGM-238も同じ)。
 さて、肝心のGPS性能であるが、同じCXD2951GA-4が搭載されているので、イオ111wPGM-238)と殆ど同一と言ってよいだろう。SiRF Star IIIを搭載したGPS受信機に比べ、感度は決して高くは無いが測位開始速度はかなり速い。また、SIRF Star系に見られるデータ出力が遅く、結果的に高速移動している場合には、大きな誤差が出るような事も無い。
 とは言え、VGP-BGU1Bluetooth接続が行われていないと、GPS受信機が作動しないというのは、困った仕様だ(折角、以前のソニー製Bluetooth GPS受信機と違い、勝手にパワーセーブで電源が落ちなくなったのに)。ウォームスタートが早いとは言え、測位状況によってはそれなりの待ち時間が生じてしまう。恐らく、VGP-BGU1の設計チームは、電池寿命を優先したのだと思われるが、その割にはバッテリーパックの交換が、裏面のラバーを剥がしネジを二本外さないと交換出来ないなど、ちぐはぐな構造だ。
 また、装備されているLEDが、乳白色のプラスチックでカバーされているのだが、野外の晴天時には、点灯(点滅)しているのか消灯しているのかが、殆ど判断出来ない位に暗い。筆者の持つ他のBluetooth GPS受信機では、クリアタイプのプラスチックなので、晴天時においても輝度が十分なので、はっきりとLEDの点灯状態が判る。
 ソニーとしては、二機種目のBluetooth GPS受信機となるVGP-BGU1であるが、改良されている点もあるが、他社製品と比べてみると使いにくい点も多く、特に実際、フィールドでのテストが十分にされていたのか、疑問の多い仕様が目に付き、卓上での設計だけで製品化されてしまったように思えてしまう。
 また、電気的な仕様ではないが、製品仕様としてFCCCEの認定も取得し、本当の意味でのGlobal Positioning Systemとして使える様にして欲しい。以前に紹介した米Socket社のBluetooth受信機Socket新型Bluetooth GPS Receiver」や、GPS受信機ではないが、これも以前に紹介したBluetoothヘッドフォン&ヘッドセット、米PLANTRONICSの「Pulsar 590A」では、TELECに加えてFCCCEの認定を取得しており、日本以外の国々でも電波法に違反することなく使用できる。
 国際企業でもあり、より巨大な企業であるソニーが、これらの認定を取得していないのは、コストダウンという名目なのだろうが、筆者の様に海外でもVGP-BGU1を使用したいユーザにとっては、ソニーの怠慢としか思えないのではないだろうか。



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コメント

清水さん、こんばんは。
多分、今頃TPEですね。

私はVGP-BGU1ではなく、勢いでBLGPSを購入してしまいました。
こちらも一癖あるものですね~!

NK2でのPowerNavigation2用と思ったのですが
作動が不安定です。
GPS信号をつかむとソフトが落ちたりして
四苦八苦しています。

Pocket Mappleの動作は問題なく、OKなのですが・・・

落ち着いてから、「DPS」機購入を考えたいと思っています。

でも、Socketのは製造中止になっているようなので、次のがでてるかな?

清水さんのCOMPUTEXレポートに期待します。

投稿: pepsiman_koza | 2006年6月 8日 00:18

pepsiman_kozaさん、こんばんは、

台北は今日も豪雨です。今日は、仲間と宴会を済ませて、二次会をパスして、今日は早寝です。(笑)

GPS関係ですが、BT-339などもグローバルサットから発売されていますし、GPSlim236もB型になって、モデル名のようにスリムになりました。

皆、SiRF IIIのチューニングをしているようで、傾向として初期型のよりも精度に目を向けてきてますね。

とあるメーカでは、別に名刺を出したわけではないのですが、「貴方は清水さんでしょう」と言われてしまいました。かなり、GPS関連では、台湾でも名前が知られてきていて、嬉しい様な、ヤバイような・・・(苦笑)

投稿: 清水@台北 | 2006年6月 9日 22:31

はじめまして、Mitsuguといいます。
私もこのGPS購入しました。clie用の以前のレシーバよりいいですね。
ところで、ここに書かれている@なんちゃらとかのコマンド一覧とかはどこかにないでしょうか?実はマニュアルに書いてあったりするのでしょうか?
何か情報あったら教えていただけると助かります。

投稿: Mitsugu | 2006年6月22日 13:29

Mitsuguさん、こんにちは、

付属のマニュアルには、コマンドは一切記述されてません。

VGP-BGU1内部で使用されているCXD2951GA-4が載ったモジュールは、GXB5005だと思われますので、以下のコマンドが適用可能だと思われます。

@TM Sets/queries receiver date and time
@PM Sets/queries receiver position
@AM Inputs/Outputs Almanac data
@CB Sets receiver UART baud rate
@EM Inputs/Outputs Ephemeris data
@CLR Sets user parameters to the default values andperforms a software
reset
@SS Clears position and performs software reset
@CD Cold-Start - Clears memory and performs a software reset
@SW Warm-Start - Clears Ephemeris data and performs a software reset
@SR Hot-Start - Performs a software reset
@SK Sets/queries geodetic system (WGS-84 is default)
@OI Sets/queries the message output interval
@PV Requests receiver firmware version
@NC Sets output interval for each NMEA sentence
@ANT Controls and outputs result of antenna sense anddrive circuitry
@PLM Sets low power mode
@ST Sets sleep mode
@WA Sets/queries SBAS options
@WLK Position Filter Control

コマンドの機能を理解した上で、自己責任でおためしください。不用意に送出すると、VGP-BGU1が工場出荷以前の記憶喪失状態になります。

実際、一般の使用で有益なコマンドは、WAASがテストビットが立っているので、VGP-BGU1では認識できませんから、@WLK ON/OFFくらいでしょうか・・・

色々と実験するならば、ホット、ウォーム、コールドのリセット・コマンドは重宝します。

本コマンドに関しての質問などには、回答できませんので、ご自分でお調べ下さい。

投稿: 清水 隆夫 | 2006年6月22日 18:25

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