測量・設計システム展2006
先週の7月5日~7月7日まで、横浜みなとみらいにあるパシフィコ横浜で、「全国測量技術大会2006」に併設される形で、「測量・設計システム展2006」が開催されていたので、取材がてら会場で知人と会う約束をしていた事もあり出かけてみた。
筆者も横浜在住なのだが、筆者の住む地区から、パシフィコ横浜までは横浜市営地下鉄で一本だ。とは言え、パシフィコ横浜は、地下鉄桜木町駅からは、かなり歩くことになるのだが、梅雨の真っ最中だったが、幸運にも晴れたので、久々にエアコンの効いたランドマークタワーを抜けるのではなく、表の道路を歩いてみたのだが、結果的には汗だくになってしまい、ちょっと後悔(苦笑)。
さて、この測量・設計システム展は基本的に、測量関係の展示会なので、コンシューマ向けのGPS受信機などの展示はないのだが、最先端の業務用GPS受信機などが展示されているので、普段は目にすることが出来ない、プロ用のGPS受信機などを簡単に紹介しておく。
上の写真は、測量メーカの老舗ソキア(SOKKIA)の測量用GPS受信機(GSR2700IS)で、一見すると街路灯か庭園灯にも見えるが、高精度のGPS受信機である。我々が使うコンシューマ用GPS受信機とは異なり、微弱なGPS衛星からの電波を、よりS/N(Signal / Noise)比を良くして受信するためか、フルサイズのGPSアンテナを搭載しているのだろう。
加えて、GPS衛星からの民間用周波数(1.5GHz帯)だけではなく、他の周波数も受信可能なうえ、正確な測位を妨害するマルチパス電波を除去する装置も内蔵している点など、コンシューマ用GPS受信機とは根本的に異なっており、マルチパス電波を受信することで、精度は二の次とし、どこでも測位が出来ることを売りにしているコンシューマ用GPS受信機とは、別次元のプロ用GPS受信機だ。
GSR2700ISには、ケーブルによるコントロールの他、Bluetoothによるワイヤレス制御も可能になっており、Bluetoothを用いた制御用のコントローラには、こちらも業務用のPocket PCが用いられている。これは、Panasonic製の業務用Pocket PC(PDA)「CF-P1」で、完全防滴構造はもちろんのこと、対ショックにも強い全天候型Pocket PCだ。
Panasonicでは、TOUGHBOOKシリーズという業務用ノートPCがあるが、さしずめこのPDAはTOUGHPDAと言ったところだろう。アウトドアニーズやバイクなどでの使用にも最適なので、一般向けにもモディファイ(特に価格を安価に)し、市販をして欲しいモデルである。
こちらは、同じくソキアから新発売になった、小型のD-GPS受信機GIR 1600だ。小型と言っても、大きさははがきサイズなので、コンシューマ用の小型GPS受信機と比べると、大型サイズなのだが、この大きさでD-GPS受信機をも内蔵しているのだから、業務用としては、超小型と言って差し支えないだろう。 円形部分がGPSアンテナになっており、この部分を切り離してケーブル接続によって、マルチパスを受信しないように、ポールの先へ装着することも出来るし、本体ごとポールの先へ固定する事も可能だ。(冒頭の写真に一台だけGIR 1600が写っている)。
また、このGIR 1600を用いると、従来の大型D-GPS受信機を背中に背負う、重装備のランドサーベイ・スタイルから、トレッキング風の軽装で、同じ作業が簡単に行えるという、マネキンを使った紹介もされていた。
写真では判りにくいのだが、頭の上の後部に、切り離されてポールに取りつけられたGPSアンテナ部分が見える。本体はリュックの中や、リュックの肩ベルトのケースへ収納することができるわけだ。
このサイズのD-GPS受信機ならば、コンシューマ用としても使えるので、機会があれば是非とも評価してみたい、ソキア製のプロ用GPS受信機である。
こちらのGIS業務用PDAとGPS受信機は、筆者が昨年レポートした「デジタルマップフェア2005」でも紹介した、業務用GPS受信機の老舗であるTrimble社(ニコン・トリンブル)の「Trimble Recon GPS Card Edition」と、業務用GPS受信機である。
Recon GPS Cardは、Reconのタイプ1CFスロットへ、専用のCF型GPS受信機を搭載しているのだが、Bluetooth経由によって、より感度と精度の高い大型GPS受信機と組合せることで、測量分野でも活用できる。
一見すると、空飛ぶ円盤のようにも見えるが、これもTrimble社の業務用GPS受信機である。かなり大型で、直径は約30cmほどあり、見るからに高感度そうなGPS受信機だ。筆者のようなStar Trekマニア(トレッキー)には、円盤部を切り離して航行する、エンタープライズに見えてしまうのだが、デザインもすばらしいGPS受信機だ。
もちろん、この業務用GPS受信機にも、Bluetoothが搭載されており、コントローラ部分とはBluetoothを用いたワイヤレス通信によって行われる。コントローラ部分は、業務用に多い黄色の筐体であるが、黒いラバー部分とのコントラストが鮮やかだ。
しかし、真横からみたGPS受信機部分は、よりエンタープライズの円盤部分に見える。個人的な趣向からは、今回の展示会で展示されていた、業務用GPS受信機の中では、最も欲しいと思ったGPS受信機だった。無論、GPSマニアという立場ではなく、トレッキーという立場からの願望であるのは、言うまでもない。
今回の測量・設計システム展2006へは、7月6日の午後に取材へ出かけて、その日に筆者のmixiの日記で、概略を紹介していたのだが、そのmixiの日記で圧倒的にマイミクさんから好評だったのが、上の写真だ。一見すると、まるで墓石のように見えるが、これは国土地理院が管理している「三角点」である。山の頂上などに埋められているのを、見たことがある方もいるだろう。
そして、このコインのような形状をしているのは、石碑型ではない最新の「インテリジェント基準点」と呼ばれる、非接触型のRF ID ICチップを搭載している三角点の未来型だ。「ucode」と呼ばれるコード体系が採用されており、非接触ICチップに加えて、QRコード(?)と思われる二次元バーコードも印刷されていた。
この、コイン型インテリジェント基準点を、更に小型化した直径1cmほどの、超小型非接触ICチップも開発されている。そして、こちらの超小型タイプは、先に紹介した昔からの三角点(石碑)へ埋め込みを行い、インテリジェント基準点としても使えるようになるのだと言う説明だった。
実際に、展示されていた墓石三角点にも、この非接触ICチップが埋め込まれており、上部をよく見ると、ICチップを確認することが出来た。現在は、未だ実験段階なので、神戸地区を実験エリアとしているそうなので、神戸在住の方はICチップが埋め込まれた三角点や、新世代のインテリジェント基準点を、既に目にしたことがあるかもしれない。
この非接触ICチップのデータを読むには、専用の端末を用いる。実際にデモを行っていただいたのだが、小型のハンディ端末には、非接触ICチップのデータチップのデータを読み取るスキャナが装備されており、チップのIDを読み取ると、その位置を地図上へ表示した。
専用端末は、見たところWindows CE端末のようだったが、詳細な液晶表示を持っており、恐らく国土地理院の数値地図と思われる地図表示も、見やすく表示されると共に、該当する場所の写真なども表示されていた。
ちなみに、ICチップには緯度経度や標高などのデータは一切記録されておらず、ID番号だけが記録されており、そのID番号を端末に内蔵しているデータベースで検索し、緯度経度データを取得して地図上へ表示させているとの説明だった。
この他、会場には空撮によるランドサーベイ用の小型ヘリコプターの実機や、ランドサーベイ用の特殊車両なども展示されていて、普段は目にする機会が少ない業務用測量機器を、間近に見ることが出来た。
コンシューマ向けの展示会に比べると、規模は小さいのだが普段目にすることが無い、業務用のPocket PCマシンやGPS受信機に加え、最先端の業務用GPS受信機を見たり(実際に野外展示では、高精度の測位実演も行っていた)できるので、機会があれば覗いてみるのもよいのではないだろうか。ちなみに一般客も無料で入場(名刺を要求されるが)可能だ。
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