1chip MSX
予約販売されていた、5000台限定の「1chip MSX」が本日筆者の手元に届いた。価格は税込で20,790円で、別途送料が840円だったが、本来であれば、開発環境、各種ソースコード、サンプルとなるソフトウェアを収録したCD-ROMも付属するハズであったが、これは別送となり後日発送されると案内されている。
また、取り扱い説明書も簡易版が付属しているだけで、これも本来であればVHDLコード簡易解説付きの、取り扱い説明書が付属されると案内されていたので、これも後からのダウンロードなどによる配布になるのかもしれない。
1chip MSXのパッケージには、面白いアイコンが描かれている。子供に親が、パソコンを教えている姿をモチーフにしたアイコンだ。子供に限らず、プログラミングを習得するのは、確かに1chip MSXは最適かもしれない。
1chip MSXには、Microsoft BASICをベースにした、MSX BASICが搭載されているので、スイッチオンで、BASICのプロンプトが画面に現れる。マイコンがパソコンとして活用去れ始めた当初では、当たり前の画面であったが、今はBASICだけでは無く、プログラミング言語そのものを標準で搭載しているパソコンの方が珍しくなってしまった。
1chip MSXのパッケージを開封すると、1chip MSX自体と、AC電源アダプタ(5V 2.5A)が別箱で同梱されている。1chip MSXのボディは、透明なプラスチックの筐体が採用されており、内部の基板が、搭載されているパーツも含めて、はっきりと見えるようになっている。
これは、1chip MSXを教材として使用する場合には、大変に良い方法だろう。1chip MSXの筐体上面には、左側に電源スイッチがあり、右側にはリセットスイッチがある。スイッチ自体は、基板に装着されており、ボタン部分はボディ側に装備されていて、メンテナンス性も大変良く考えられている構造だ。
1chip MSXのボディ全面には、左から2ポートのUSBソケット、2ポートのジョイスティック・ポート、そしてSD/MMCメモリカードスロットを装備している。元々のMSXマシンでは、もちろん、USBやSD/MMCメモリカードの規格すら存在していなかった時代なので、ジョイスティック・ポート以外は1chip MSXのオリジナル装備だ。
ただし、USBポートに関しては、ハードウェアが実装されているだけで、現状の1chip MSXでは、サポートされていないために使用することは出来ない。今後の拡張用ということである。ジョイスティックは、完全MSX互換なので、当時のジョイスティックを持っていれば、そのまま使用することが可能だ。
1chip MSXの筐体背面にも、各種のI/Oポートが装備されている。右から、PS/2キーボード・コネクタ、アナログVGAコネクタ、ビデオ出力用のS端子、NTSCビデオ出力、ステレオ・サウンド出力の各RCAコネクタ、そして電源用入力コネクタの順だ。
1chip MSXで新たに搭載されたPS/2キーボード端子は、汎用のPS/2キーボードを使用可能とするのだが、1chip MSXの内部でオリジナルのMSX互換キーボードのエミュレーションを行う様だ。VGA出力も、1chip MSXの新たな装備の一つであり、手持ちのCRTやLCDを流用できる様に配慮されている。
1chip MSXに装備されている拡張スロットは、MSX完全互換のスロットが2スロット装備されている。各スロットには、筐体側でカバーが装備されており、不用意にスロットの端子をショートさせたり、埃などの進入を防ぐ構造になっており、この辺りの細かな配慮にも、設計者のきめ細やかな配慮が行き届いており、感心する次第だ。
1chip MSXのボディ前面に装備されている、SD/MMCメモリカードソケットに関しては、オリジナルのMSXに装備されていた(機種によってはオプションだった)FDDの代わりとして使用可能であり、容量からすればFDDというよりは、HDDとしても使用可能であり、当時のMSXマシンでは考えられない程の記憶容量と高速性を実現している。
1chip MSXのボディ裏面には、オリジナルのMSXロゴと共に、販売元と製造元の社名が記載されている。日本での製造では、今回の様な安価な価格では、製造も5000台では不可能だろうと、筆者は予想していたが案の定、製造は中国で行われているようだ。とは言え、基板の仕上がりは非常に良く、基板の設計は日本で行われたのだろうが、製造を行った中国の会社も、なかなか品質管理の良い会社ではないかと想像する。
基板に大きなチップが見えるが、これが1chip MSXの心臓部でもあり、名前の由来でもあるALTER社のFPGAチップである「Cyclone EP1C12Q240C8」チップだ。FPGAチップとは、一言で言ってしまえば、ハードウェアをプログラミングできるチップであり、1chip MSXの場合には、Cyclone EP1C12Q240C8チップにMSXのハーウェアをプログラミングしてあると言える。
もちろん、プログラミングを変更する事によって、1chip MSXを拡張したりすることも可能だし、全く別の絶版マイコンや絶版パソコンを、プログラミングによって復元する事も可能となるわけだ。
単に絶版MSXを、手持ちのパソコンでエミュレーションを行うのであれば、ソフトウェアによるエミュレータも多数存在しているので、MSXに限らず各種のエミュレータによって、絶版マイコンやパソコンを体験することが出来るが、ハードウェアそのものをFPGAチップへプログラミングし、絶版マイコンやパソコンを復元したり、再現できる可能性を持っている、1chip MSXは、当時を懐かしく感じる世代の知的な玩具としても最適では無いかと、筆者は思っているのだが。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
うちにも近いうちに届くかな・・・?
投稿: (か) | 2006年11月20日 09:16
(か)さん、こんばんは、
(か)さんも購入されたんですね (^O^)
私は、予約開始後、直ぐに申し込んだので、発送も早かったのかもしれません。18日に突然届いて驚いたんですが、それから数時間後にメールで配送しますという案内が来ました。(苦笑)
まぁ、MSXとして使うよりも、FPGAチップのプログラムに興味があって購入したんですが、開発キットやドキュメントが到着するのが楽しみです。
投稿: 清水 隆夫 | 2006年11月20日 19:25
私はもともとMSXで育ってきた人間なので,またMSXの環境で遊んでみたくなりました。
投稿: (か) | 2006年11月21日 15:19
(か)さん、こんばんは、
私は立場が逆で、MSXを育てる側だったので、やっぱり懐かしさと共に愛着もあります。
MSX2の2FDDモデルが、実働であるんですけど、コレクションと言うか死蔵してます。カートリッジも色々と何処かにしまい込んであるハズなんですが・・・(苦笑)
投稿: 清水 隆夫 | 2006年11月22日 01:40
今朝うちにも届きました!
でも早くマニュアルとかも届いてほしいんですけどね(笑)
投稿: (か) | 2006年11月23日 10:22
(か)さん、こんにちは、
>でも早くマニュアルとかも届いてほしいんですけどね(笑)
そうですね、ちょっと試してみましたが、BASICをすっかり忘れている自分が居ました。(苦笑)
MSXPlayer for Pocket PCがあるので、これをX01HTへ入れてみる事にして、BASICのリハビリを計画中。(笑)
投稿: 清水 隆夫 | 2006年11月23日 17:37
いいですね!
どこでもMSXが使えるのはいいです。
ゲームやりたいかも(笑)
投稿: (か) | 2006年11月23日 20:13
(か)さん、こんばんは、
私の場合は、使い捨てのプログラムが、外出先でも簡単に作成できる(BASICが使える)環境として、MSXエミュレータが活用できないかと・・・
本当は、インタープリタ型のGW-BASIC(BASICA)が、Pocket PCで提供されると最高なんですが、無理な希望なのは十分承知しているので・・・(苦笑)
投稿: 清水 隆夫 | 2006年11月24日 22:42