Google Android Emulator
Google Androidこと、OHA(Open Handset Alliance)より「Android」(アンドロイド)用のソフトウェア開発キット(SDK)がβ版ではあるが公開され、ダウンロードが日本時間の昨日より可能になった。筆者も早々にAndroidのSDKをダウンロードし、SDKに同梱されている「Android Emulator」を実行してみた。ダウンロード可能なSDKのプラットフォームは、Windows XP/Vista用と、Mac OS X(v10.48以降のIntel Macのみ)用、Linux用の三種類が提供されているので、自分の環境に合ったSDKをダウンロードすれば良い。筆者は、Mac OS X用とWindows用をダウンロードして双方を試してみた。
上のスクリーンショットは、4月の最終ミーティングの時点でアップル社より筆者へ譲渡されている、「iMac 20インチモデル(MA589J/A)」へ、先月アップル社よりプレゼントされた「Mac OS X Leopard」(v10.5)をインストールした環境で、GoogleのAndroid Emulatorを動作させた画面だ。画面下部へ表示されるメニューは、Mac OS Xのドック(Leopardの拡張されたドックではなく、Tigerまでのドック)そのもので、画面をタッチして左右へ移動するか、キー部分のスクロールキーを操作することで左右へ移動し、アイコンが大きくなり選択ボタンか、画面をタップすることで、アプリケーションが起動する。
Android Emulatorへ初期状態でインストールされているアプリケーションは、Webブラウザ(WebKitベース)と、住所録、Google Maps、OpenGLによるグラフィックのデモといったところだが、SDKにはこの他にもゲームなどのサンプルソフトウェアが同梱されているので、これらをコンパイルしてAndroid Emulator上で評価を行うこともできる。ちなみに、アプリケーションはJavaで書かれており、Androidの標準開発言語としてはJavaが公用語となるようだ。
初期状態でAndroid Emulatorのブラウザを起動すると、米国のGoogleのメインページが表示される。無論、検索を行うことも可能であり、直接URLを入力することで、日本のWebページを参照することも可能だ。初期状態では、フルサイズの表示を行うが、メニューからズームアウトを行うことで、画面サイズに合った表示を行うことも可能で、CSSにも対応しているようで、殆どのWebページがデザインを崩すこと無く表示される。
初期設定のAndroid Emulatorでは、ランドスケープ(横)表示のQVGA解像度で、フルキーボードを備えたスキンで動作を行うがAndroid Emulatorには、標準の他にも3種類のスキンが同梱されている。標準以外のスキンは、ポートレート(縦)表示のQVGA(キーボード無し)、ポートレート(縦)表示のVGA(キーボード無し)、ランドスケープ(横)表示のVGA(キーボード無し)の三種類だ。
上記のスクリーンショットは、「Windows Vista Ultimate x64 Edition」環境上でスキンをVGAのランドスケープへ変更して起動した、Android Emulatorの画面だ。キーボードがスキンの画像ではなく、別のグラフィックで表示されており、他のスキンでも同様の形状でキーボードが表示される。エミュレータ内でのソフトキーボード機能は、現時点では提供されておらず、正式版のSDKでは実装されるのだろう。
ブラウザを開いた状態から、メニューボタンを押すことで、半透過上のメニュー表示が行われ、サブメニューがある場合は、一段濃い半透過メニューが表示されるなど、なかなか芸が細かい。日本語表示やグラフィック表示は、問題なく綺麗に表示されフォントの影響もあるのだが、読みやすい表示だ。
複数のWebページを表示した場合は、その表示したページの履歴を記録しており、自由に戻ったりすることも可能で、この操作はMac OS X LeopardのFinderに装備されたカバー・フロー(あるいはiTunesのカバー・フロー)を操作する感じだ。Windows Vista Ultimateのフリップ3Dによるタスク選択操作にも似ている。この操作フィーリングも、画面をタッチして操作を行うこともできるし、カーソル・ボタンの操作でも同様に操作が可能だ。
Android Emulatorに装備されているGoogle Mapsも完成度が高く、日本の地図はもちろんのこと、衛星画像表示に切り替えたり、同時表示(重ね合わせ表示)も可能だ。経路探査機能も装備しているのだが、現時点では米国の地図表示では動作できたが、残念ながら日本の地図表示では動作しないのは、PC(あるいは携帯、PDA)版同様に致し方ないところだ。また、GPS対応も現時点のβ版では実装されていないのだが、AndroidのAPIとしてはGPS機能をサポートしているようなので、正式版では対応されるだろう。
現状のβ版Android Emulatorには、残念ながら日本語入力が行えないという致命的な問題もあり、表示は問題なく日本語表示が可能なのだが、ブラウザだけではなく住所録のアプリケーションなど、全てのアプリケーションで、日本語入力を行うと文字化けしてしまう。もっとも、エミュレータなのでエミュレータ自体に日本語変換機能が実装されていない状態であり、今後それらが完備した正式版では問題が解消されると思われる。
Android Emulatorの面白いところは、設定によってインターネット接続速度を、GSM(EDGE)や3G(W-CDMA)、HSDPAやWi-Fiなどの速度に設定可能となっており、実際の通信環境速度でのエミュレーションも可能になっている点だ。初期設定では、速度の制限は無く、エミュレーション環境のインターネット(あるいはLAN)の速度(無論エミュレーションによるオーバーヘッドはあるが)となる。
また、今回リリースされたβ版Android EmulatorのGUIデザインは、正式版のAndroidでは変更される可能性があると、Googleのblogでもアナウンスされているが、SDKで開発されたJavaアプリケーションに関しては、正式版のAndroidでもそのまま動作するようだ。
さらにに、AndroidのSDKがリリースされると同時に、Googleではアプリケーションの開発コンテストを行うと発表されたので、Javaを書けるプログラマは参加してみるのも良いだろう。かなり高額な賞金が用意されており、それを狙って今からJavaを勉強するのも良いかもしれない。
ちなみに、アプリケーション開発には、AndroidのSDKの他にEclipseなどの開発環境が必要となり、SDKにはEclipse用のプラグインも用意されているので、別途Eclipseをダウンロードすれば、そのままアプリケーション開発を行うことが可能となり、SDKに同梱されるサンプル・アプリケーションのコンパイルを行い、Android Emulatorで実行することが可能だ。
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