OpenSim Version 0.5
最近ではSecond Lifeへのログイン時間が大きく減少傾向の筆者であるが、かと言ってSecond Lifeビューアの起動時間は全く減少しておらず、むしろ起動時間が長くなっていると言っても良い位だ。その理由は、Second LifeのGRIDシステムへのログインではなく、自前のSecond Life互換のSimサーバへログインしているからだ。このSecond Life互換のSimサーバは、オープンソースのプロジェクト「OpenSimulator」(OpenSim)で開発公開されており、その最新版となるOpenSim Version 0.5のソースコードが先日公開された。
OpenSimは、C#言語で記述されておりコンパイルにはマイクロソフトのVisual Studio 2005 C# Express Editionなどが必要となる。OpenSim Version 0.4までは、Visual Studio 2005 C# Express Editionのみの対応だったが、今回リリースされたOpenSim Version 0.5では、Visual Studio 2008 C# Express Editionにも対応したので好みのコンパイル環境を使用することができる。Visual Studio 2005 C# Express EditionとVisual Studio 2008 C# Express Editionは、登録さえすれば無償で使用できるので、製品版の購入は不要なのもホビーベースのユーザには有りがたいだろう。無論、製品版のVisual Studio 2008 Standard EditionやVisual Studio 2008 Professional Editionでもコンパイル可能なのは言うまでもない。
OpenSimulatorからダウンロード(OpenSimはSVNによってリビジョン管理されているので、SVNを用いてソースコードをダウンロードする事)したOpenSim Version 0.5のソースコードを、Visual Studio 2005 C# Express Editionなどでコンパイルして、作成された「bin」フォルダ(約42MBほどの容量)内にある、「OpenSim.exe」をダブルクリックすれば、OpenSimが起動する。筆者の場合は、Visual Studio 2008 Professional Editionでコンパイルしたのだが、特にコンパイルエラーは無く、支障のない警告が数カ所出ただけなので、問題となるようなソースコードでは無い。
OpenSimが起動すると、Windowsのコマンド・プロンプト画面が表示されて、OpenSimの起動シーケンスが開始される。OpenSimの起動時に、日本語のエラー警告が数行だけ表示されるが、これは無視して構わない。そして最初の起動時には、コマンド・プロンプトの表示が停止し、次の表示を行って入力待ちになる。
REGION CONFIG #1: Region Name [OpenSim Test]
このまま、「Enter」キーを押せば「OpenSim Test」という名前のSimサーバ名となる。ここで好きな名前を入れても構わないが、最初のテストはデフォルトのままでよいだろう。
その次以降の表示も、同じくデフォルトでOKだろう。GRIDロケーションをXとYで設定できるが、デフォルトで問題ない。その次に表示されるのは、PC内部で使われるUDPのIPアドレスだ。
REGION CONFIG #1: Internal IP Address for incomeing UDP client connection [0.0.0.0]
ここでは、デフォルトではなく「127.0.0.1」と入力する。仮に「Enter」キーを押してしまい、[0.0.0.0]とUDPのIPアドレスを設定してしまっても動作するが、エラー表示が頻繁に出るだけだ。後は、全て「Enter」キーを押してデフォルト設定で進めて行くと、OpenSimの動作に必要なデータベースの作成が、自動的に行われる。
OpenSimが起動されて基本設定が完了した段階で、OpenSimは待ち受け状態になり、「OpenSim Test」Simサーバは待機状態となり、ユーザがログインが可能な状態になっている。ここで、クライアント(Second Life ビューア)を、OpenSimを起動させたPCと同じPCで起動する。ただし、そのままSecond Lifeビューアを起動してしまうと、本物のSecond Life GRIDへ接続に行ってしまうので、以下の手順でデスクトップのショートカットをコピーしてプロパティを変更したのち、そのコピーからSecond Lifeビューアの起動を行う。
1) デスクトップの「Second Life」ショートカットを、マウスで右クリックしてメニューから「コピー」を選択。
2) デスクトップ上の何も無い場所を、マウスで右クリックしてメニューから「貼り付け」を選択。
3) 新たに出来た「Second Life」のショートカットをマウスで右クリックして「プロパティ」を選択。
4) プロパティが表示されたら、「リンク先」の内容を全て消去して、下記をコピー&ペーストする。
"C:\Program Files\SecondLife\SecondLife.exe" -loginuri http://localhost:9000/ -loginpage http://localhost:9000/?method=login
5) 「OK」をクリックして、プロパティ画面を消す。
以上でPC上で起動している、OpenSimサーバへ接続するSecond Lifeビューアのショートカットが作成されたので、これをクリックしてSecond Lifeビューアを起動する。(ちなみに、Second Lifeビューアは1.18.5.3が推奨されている。)
Second Lifeビューアが起動したら、ファーストネームに「Test」を、セカンドネームに「User」を入力して、パスワードは「test」を入力する。ただし、 OpenSimサーバを最初の起動時に、ユーザネームやパスワードをデフォルトから変更している場合には、その変更したユーザ名やパスワードを、ここで入 力する。後は、Second Lifeビューアの「接続」ボタンをクリックすれば、PC上で起動待機中のOpenSimサーバへ接続される。
Second LifeビューアからOpenSimサーバへ接続すると、いつも表示されるSecond
Lifeのアバターとは違ったアバターが、Second Lifeビューアに表示される。ログインしたSimサーバは、Sim名が「OpenSim
Test」という名前となっているハズだ。(最初のOpenSim起動時にデフォルトからSim名を変更した場合には、そのSim名となる。)Simには何にも無い比較的小さな島と、周りは海となっている。アバターの移動やビューアの操作は、Second Lifeと同じだ。アバターの編集は出来ないが(新規作成は試していない)、プリムの作成などは出来る。持ち物も殆ど所持しておらず、テクスチャが少しあるだけだ。
OpenSimサーバへ接続したSecond Lifeビューアには、所持金がL$1000と表示されるが、無意味なのは言うまでもない。OpenSimサーバでのアバター動作は、想像以上に速い感じがする。一人で占有しているSimサーバだし、PC内部でデータのやりとりをしているので、データ転送のボトルネックも無いので軽いのだろう。また、複数のSecond Lifeビューアを起動して、複数のIDでログインできる事も確認でき、複数のアバター動作も問題は無かった。
Second Lifeビューアからいろいろな動作や、アバターのアクションを行うと、OpenSimサーバの画面でステータス表示が同期して表示される。いろいろアクションをチェックしてみると面白いだろう。特にプリムの作成などを行うと、実際のSimサーバ側の動作が見えるので、中々興味深い。
OpenSimの終了は、コマンド・プロンプトの「×」をクリックして終了しては行けない。データベースへの記録が中断してしまうので、かならず誰も(と言ってもテストモードではアバターは一人であるが)ログインしてない状態から、以下のコマンドをキーボードから入力する。
shutdown あるいは、quit をキーボードから入力し「Enter」キーを押す。
このシャットダウン・コマンドを受け付けると、OpenSimはデータベースへ状態を記録してから、他のサーバ(実際には、
OpenSimサーバの他に、HTTPサーバや、データベース・サーバなどが裏で起動している)もシャットダウンし、その後に自分自身も終了する。OpenSimが正常シャットダウンすると、コマンド・プロンプトの画面も自動で消える。もう一度起動した場合は、Sim名やユーザ名などの入力プロン
プトは表示されず、いきなりOpenSimサーバの待機状態へ移行する。もちろん終了は、必ずシャットダウン・コマンドで終わらせる必要がある。
Second Life内で自前のSimを所有しようとすれば、それなりの費用を伴うことになるが、OpenSimを使用すれば自分のPC内で自分だけのSimを所有することが可能だ。もちろん、自前のサーバでOpenSimを稼働させて、それをインターネット上へ公開することも可能なので、一人Simサーバに限らず、仲間だけのSimサーバを運用することも可能だ。また、Second Life内でSimを所有する前に、OpenSimを用いてSimの運用技術を身につけるという事も出来る。
Second Life内でも、サンドボックスなどの限定エリアでないと、プリムの作成などは簡単に行えないし、更に地形などの変更を行えるエリアは殆ど無い。そういったSecond Lifeの操作を学ぶためのシミュレーションには、文字通りOpenSimを用いると誰でもが行える訳だ。
追記: <<"OpenSim"カテゴリを作成>>
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