OpenSim Version 0.6.2
筆者が、昨年「Second Life」サーバ互換の、オープンソース・サーバである「OpenSim」を紹介するレポートを書いてから早いもので、もう1年が経過しようとしている。そのOpenSimこと「OpenSimulator」のプロジェクトが、最初のリリースを行ってから今日が満2年となる(日本時間ではなく、GMTが標準なので実際には1月29日だが)。そんな、OpenSimのリリース二周年を祝う催しが、OpenSimのサイトをはじめ、OpenSimサーバを用いてGRIDを運営しているグループやサイトで、記念の催しが開催されていたので、筆者も参加している。
上に掲載した画像は、OpenSimの「Second Birthday」の特設ページで配布されている、OpenSim二周年を祝うバースデーカードの画像へ、筆者がメッセージを入れた画像だ。オリジナルは、オープンソースのプロジェクトなので、PNGフォーマットの画像で、もう少し大きいのだが、筆者はメッセージを入れるついでに、一回りサイズを縮小してJPEGフォーマットへ変換した。
本家OpenSimのサイトでも、通常のバナーではなく、二周年を祝うバナーへ模様替えされており、いつもトレードマークではなく「WE ARE 2!」という旗を、アバターのアイコンが持ち、更にはSim(Region)を表す丘の上にも、アバターが集まってお祝いをしていると、なかなか楽しい雰囲気だ。また、トップのメニューの上部には、「Second Birthday」の特設ページへのリンクが掲載されている。
また、OpenSimの「Second Birthday」の特設ページでは、冒頭に掲載したカードの画像の他、二周年の記念バナーの配布も行われている。一周年の際には、この様な催しが行われた記憶はなく、やはりOpenSimのプロジェクトが、二年もの歳月を経て確実に進歩して安定したSecondLife互換のオープンソース・サーバ・ソフトへ向けて、プロジェクトのメンバー全員が頑張っている証なのだろう。また、この「Second Birthday」の特設ページには、最初のOpenSimのリリースからの歴史などもまとめられているので、興味の有る方はOpenSimの歴史を眺めてみるのも面白いだろう。
さて、そんなOpenSimであるが、筆者が昨年のレポートで紹介した時点では、Version 0.5であった。今現在のバージョンはというと、Version 0.6.2とバージョンは確実に上がっており、安定度やSecond Lifeの互換機能も向上している。筆者もOpenSimをいじりはじめてから、既に一年以上が経過しているのだが、機能的にはSecond Lifeと殆ど遜色ない位のレベルになっていると思う(まだ、実装されていない機能も多々あるが)。
上の画面キャプチャは、筆者のDNRH-001で動作しているOpenSimサーバの状態であるが、最初の頃はマルチ・リージョン(一つのOpenSimサーバで、複数のSimを稼働させることが可能)で、4つのSim(Region)を動作させている状態を、VNC経由でコントロールとモニタを行っているスクリーンショットだ。
筆者のOpenSimサーバソフトは、Windowsのコマンド・プロンプト(CMD.EXE)で動作しているので、コマンドは全てVNCビューア経由でのコマンドによって行っているが、OpenSim Version 0.6.X以降であれば、別途Apacheサーバのインストールが必要になるが、Webブラウザ経由でもコントロールが可能になっている。筆者の場合は、コマンド・プロンプトであっても、特に不自由だとは思わないのだが、GUIに慣れているユーザには扱いにくいかもしれない。
上に掲載したスクリーンショットでは、コマンドによって稼働中のOpenSimのステータス(稼働状態)、バージョン表示、稼働中のSim(Region)名や位置をリスト表示させた所だ。四つのSimをスタンドアロンで稼働(インターネットへの公開は通常行っていないが、ルータの設定を行えば即、可能になる状態)させているが、DNRH-001のメモリ(1GBに増設済み)は半分も消費しておらず、後4~5の合計九つのSim(Region)を稼働させられる程度の余裕がある。
OpenSimは、サーバのソフトウェアなので、サーバ側を見ていても一般の方には、全く面白くないだろうから、稼働中の筆者のOpenSimサーバへ、ビューア(前の記事で紹介した「Hippo OpenSim Viewer Ver.0.4.0」のWindows版を使用している。)でログインした時のスクリーンショットを掲載しておくので、ご覧頂きたい。アバターはあえてOpenSimデフォルトの状態であるが、もちろんSecond Life同様に自由に変更することが可能なのは言うまでもない。
上に掲載したスクリーンショットは、LSL(Linden Script Language)によって、ゆっくりと回転する4面にディスプレイを持つオブジェクトと、高架鉄道の橋脚部分が設置してある広場で、近未来の都市をイメージしている。
一見すると、Second Lifeと全く変わらないSimの様に見えるだろう。画面右下へ表示しているミニマップの表示に、Sim(Region)が四つ表示されているのがご覧頂けるだろうか。また、非力なDNRH-001であっても30FPS程度(サーバ側の表示では55FPS程度と表示しており、ビューア側のPCへもっと高速なGPUを積んでいればその値に近づく)と、速度的にもSecond Lifeに比べて遜色は無い。
スクリーンショットに見える高層ビルの高さは、500m弱で更にファントム・プリムによって1000mほどのビームを天空に向けて設置してある。
こちらのスクリーンショットは、別のSimへ構築してある古い(と言っても現代であるが)ビル街のエリアだ。テクスチャの貼り方がいい加減なのと、やはりアバターがデフォルトだとダサイ絵になってしまう。実はアバターの容姿を、なんとかしようと筆者は思い、前にレポートしたSecond Life関連のクリエータ向け解説書を入手したという訳だ。
建物や、小物、大道具などへ使用する、フリーのテクスチャ・データは、インターネット上を探せば、かなり探し出すことが可能だ。ただ、色々なオブジェクトを作るためには、テクスチャをSecond Lifeへアップロードする際に、L$10を要してしまう。また、ビルの様な大きなオブジェクトを作る場合は、それを設置する土地やSimも必要となり、それをSecond Life内で行おうとすると、かなりの出費と毎月の維持費が必要となる。
しかし、OpenSimサーバを自宅へ設置してあれば、四つのSim(Region)どころか、より多くのSimを稼働させても、電気代程度で維持できてしまうのだ。Second Lifeへ構築する場合でも、事前に自前のOpenSimで試作してみて、完成品をSecond Lifeへ持っていくことも可能なので、自分専用のサンドボックスSimとしても活用できる。
そして、なによりSecond Lifeでは、サーバの設定を完全に自由に変更することは、Simのオーナであっても許されないが、OpenSimであればサーバのソフトだけではなく、ハード、ネットワークも含めて、自由にいじり倒すことが可能なので、プログラマにとってもエンジニアにとっても、非常に面白い自分専用Simサーバの構築ができるのが、最大の特徴だといえるだろう。
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コメント
RT-200KI のファームウェアが自動でバージョンアップされてしまうかも。
http://flets.com/hikaridenwa/support/router_faq.html#q5
投稿: ハラヘリ | 2009年2月27日 23:22
ハラヘリさん、こんばんは、
>RT-200KI のファームウェアが自動でバージョンアップされてしまうかも。
今月、実施との噂ですね。
本記事とは無関係のコメントなので、削除して該当記事のコメント欄へ移動しようと思いましたが、記事への追記もあるので、このままにしておきますね。
記事への追記:
コメントで頂いたRT-200KIをはじめとする、NTTからレンタル提供されるBフレッツひかり電話用ルータを用いると、OpenSim ServerをOSGridへ接続したり、スタンドアロン動作であっても、外部へOpenSim Serverを公開しようとした場合、不具合が発生します。
具体的には、OpenSim ServerをOSGridへ接続した場合、自分以外のユーザは問題なく、そのRegion(Sim)へアクセスできますが、LAN側すなわち自分は、そのRegion(Sim)へアクセスできません。
同様に、スタンドアロンで運営した場合でも、ルータの設定(該当するポートの解放やポート・フォアーディングの設定)を行っても、外部からはアクセス可能になりますが、LAN側からはアクセスできません。
読者の方から質問のメールを頂いたので、コメントにてお答えさせていただきました。
対策方法:
ルータを対応する機能を持ったルータへ交換するか、NTTのレンタルルータは、ひかり電話の専用(ONU、あるいはVDSLモデムにEthernet HUBを介して接続)にしてしまうしかありません。
投稿: 清水 隆夫 | 2009年3月 5日 21:47