Wintec G-Trender WSG-1000
前回、筆者がパソコンGPSショップ「SPA」から入手した、台湾LOCOSYS社の「GT-31」をレポートしたが、同時にSPAから入手した台湾Wintec社製の小型ハンディGPS受信機「G-Trender WSG-1000」のレポートを行う。Wintec社のGPSデータ・ロガーは、超小型で電子コンパスをも内蔵したピクシス100こと「WBT-100」のレポートや、その後継機種となる「DL/G*201」こと、「WBT-201」(G-Rays)のレポートを過去に行っているが、今回レポートするG-Trender WSG-1000も、Wintec社らしいユニークな機能を持った、GPSデータ・ロガー兼ハンディGPS受信機だ。
Wintec社G-Trender WSG-1000のパッケージは、先に紹介したLOCOSYS社GT-31のパッケージと同じく、G-Trender WSG-1000本体の部分だけが透明のブリスタパックとなっており、パッケージの外からも本体が確認できるようになっている。どうやら、この中が見える構造のパッケージが、台湾製GPS受信機(GPS以外の電子機器でも多くなっている)パッケージのトレンドの様だ。G-Trender WSG-1000の同梱品に関しての詳細は後述する。
Wintec社G-Trender WSG-1000の本体は、まず大型のモノクロ液晶ディスプレイが目立ち、前面のを殆どを液晶ディスプレイが占めている。しかし、GPS受信機の要となるGPSアンテナ部分は、本体から斜め後方へ折り曲がった形状で実装されており、G-Trender WSG-1000の液晶ディスプレイを目視している際に、内蔵GPSアンテナ部分が天空に対して水平になるように設計されているなど、デザイン的と実用性に優れていると言えよう。
操作スイッチは、G-Trender WSG-1000の前面下部へまとめられており、右から「▼」ボタン、中央の「◎」ボタン、左の「▲」ボタンの三個のボタン・スイッチによって操作を行う。タッチパネル液晶ディスプレイを装備した携帯電話と同じ様な感じなので、戸惑うことはなくボタンも大きいので操作もし易い。G-Trender WSG-1000の裏側や側面には一切のスイッチは無く、下部側面にゴム製キャップ付きのミニUSBポートがあるだけだ。
G-Trender WSG-1000の裏面は、リチウム・イオン充電池ボックスの開閉式カバーなのだが、カバーは蝶番式に開閉する形状で、カバーが外れるタイプではない。リチウム・イオン充電池は交換可能なので、予備の電池を用意(別売)しておけば、出先での交換も容易なので有りがたい仕様だ。G-Trender WSG-1000の電源スイッチ(中央のボタン・スイッチ)を入れると、大型の液晶ディスプレイにメインメニューが表示される。
表示されるメイン・メニューは、パソコンGPSショップ「SPA」で購入したG-Trender WSG-1000の場合には、デフォルトで日本語表示に設定されているので、台湾製のGPS受信機に慣れている筆者は、いきなり日本語によるメニューが表示されたのは、予期せぬ(良い意味での)驚きがあった。しかし、明朝体フォントによる日本語メニューが、モノクロ液晶ディスプレイに表示されるのは、ちょっと違和感が無いわけでもない。G-Trender WSG-1000の電源を入れると、液晶ディスプレイの他、上部にあるLEDも点灯(動作によって点滅や発光色も変化)する。
G-Trender WSG-1000に装備されている大型のモノクロ液晶ディスプレイは、コントラストもハッキリとしており、非常に見やすい。バックライトも当然ながら装備しており、十分な輝度をもったバックライトなので、暗い場所や夜間でも問題なく液晶ディスプレイに表示される情報を読み取る事が可能だ。また、G-Trender WSG-1000には、以前に筆者がレポートしたピクシス100こと「WBT-100」と同じく、電子コンパスが内蔵されているので、常に方位を測ることができるのも嬉しい。
しかし、WBT-100ではGARMIN製の電子コンパス内蔵ハンディGPSと互換のNMEAセンテンスだったのだが、G-Trender WSG-1000では残念ながら方位センテンスが変更されてしまったので、方位のNMEAデータに関しては互換性が無くなってしまった。G-Trender WSG-1000には、Bluetoothも内蔵されているので、筆者の愛用しているリコーのBluetooth内蔵デジタルカメラ「Caplio 500SE W」とペアリングしても、撮影方向のデータが記録されないのが大変に残念でならない。
G-Trender WSG-1000に同梱されているアクセサリ類は、一般的な他のGPSデータ・ロガーやGPS受信機と異なっている。まず、G-Trender WSG-1000専用となるアーム・バンドが付属しており、ジョギングやウォーキング、トレッキングの際に、腕にG-Trender WSG-1000を装着できる。更に、バイクや自転車のハンドルへG-Trender WSG-1000を装着できる専用マウントも付属しているし、専用のベルト・クリップ・アダプタまでも付属しているので、別途オプションを購入することなくG-Trender WSG-1000を多種多様なスポーツで活用できる。
その他の同梱品としては、PC接続用兼充電用のUSBケーブルが付属しているが、他の台湾製GPS機器に同梱されている様な、シガープラグ型の充電器やAC電源用の充電器は同梱されていない。その為、パソコンGPSショップ「SPA」では、小型のAC電源用充電器をG-Trender WSG-1000用にプレゼントしている。もちろん、SPA版の昭文社「Super Mapple Digital for SPA」も同梱しているのは、言うまでもない。
更に、本来G-Trender WSG-1000専用となるツール類を収録したCD-ROMは無く、PC用、PDA(Windows Mobileスマートフォン)用のツール類は、Wintec社のサイトよりダウンロードする必要があるのだが、SPAでは独自にこれらのツールやドライバを収録したCD-ROMも、G-Trender WSG-1000の出荷時に同梱してくれているのは、初心者にとって非常に、ありがたいサービスだろう。
G-Trender WSG-1000には電子コンパスの他、電子気圧計も内蔵されているので、気圧の表示は勿論だが、気圧による高度の表示も可能となっており、キャリブレーションをしっかりと行っておけば、正確な高度表示も行える。加えて、電子温度計も内蔵しているので、気温の測定と表示も可能になっているのは、ハンディGPS受信機としては珍しい。G-Trender WSG-1000の液晶ディスプレイに表示されるフォントのサイズは、恐らく自転車へ装着した場合に見やすい様、かなり大きなフォント表示なので、大型液晶パネルと共に大変見やすい。
G-Trender WSG-1000の日本語表示だが、完全な日本語表示対応ではなく中国語(台湾、香港)と共用のフォントを使用しているので、本来なら「気圧」と表示して欲しいところだが、「キアツ」とカタカナで表示されている。G-Trender WSG-1000に限ったことではないが、明朝体フォントによる日本語表示のガジェット(携帯電話も含む)では、大抵の場合、中国(台湾、香港)語フォントを流用している場合が多く、表示される漢字や単語によっては、日本で使用されている漢字と違うフォントが表示されるケースも多いが、英語表示が苦手なユーザには多少、漢字表示が変だったりカタカナ表示だったりしても、判りやすいだろう。
G-Trender WSG-1000に使用されているGPSエンジンは、独u-blox社製の「ATR0625」GPSチップで、大分前に筆者がレポートした同じu-blox社製のGPSエンジンを搭載しているGPS受信機と比較すると、初期測位速度や感度が良くなっている印象だ。室内測位においても、SiRF Star IIIと搭載する「GT-31」程ではないのだが、十分な測位速度と感度を持っている。また、G-Trender WSG-1000にはBluetoothも搭載されているので、GT-31よりも使用する環境の幅が広いのも重宝するだろう。
先に紹介したGT-31と、今回紹介したG-Trender WSG-1000を、実際にアウトドアで評価したレポートは、杉花粉の飛散が少なくなるだろう、桜が満開になった頃に、改めてレポートしたいと思っている。
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コメント
わかりやすく丁寧なレポートをいつも楽しみにしております
ひとつ質問させてください。
> PDA(Windows Mobileスマートフォン)用のツール類は、Wintec社のサイトよりダウンロードする必要がある
とあるのですが、Windows Mobile では使用できるのでしょうか。ドライバ類が見当たらないようなのですが。
投稿: ポワロ | 2009年4月30日 17:10
ポワロさん、こんばんは、
>Windows Mobile では使用できるのでしょうか。ドライバ類が見当たらないようなのですが。
Pocket PC用の「TMXTool V3.1 (For PPC2003) 2007/08/03」が、WBT-201用にあります。
Bluetoothでの接続になるので、ドライバは不要です。(WM側がBT対応している必要があります。)ただし、Pocket PC 2003用なので、最近のWM 5やWM 6で動作するかどうかは不明です。少なくともPocket PC 2003SE(Second Edition)では動作しました。
ご参考:
http://www.wintec.com.tw/en/support_detail.php?cate_id=11&support_id=65
投稿: 清水 隆夫 | 2009年4月30日 21:23