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2009年4月11日

3Di OpenViewer β2

 49日に、筆者がレポートを行った3Di OpenSim」と、専用ビューアとなる「3Di OpenViewer」のβテストであるが、記事をブログで公開した直後に第二回目のユーザ限定となるβテストが、49日の21時より行われた。βテストのページをブラウザで開いてみると、「3Di OpenViewer」β2バージョンが使用可能となっていたので、筆者は早々に3Di OpenViewerを最新版となるBeta 2バージョンへアップデートを行い、ユーザ限定βテストへ参加してみた。

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 二回目となるユーザ限定(3Di社がメールにて指定したβテスト当選ユーザのみ参加可能)βテストでは、主に3Di OpenSimへの負荷テストが行われ、設置された巨大な木製滑り台での参加ユーザ全員による走行試験や、巨大な金属球体の落下を避けながらの走行テストなどが、約30分間に渡って実施された。3Di OpenViewer β2を操作していて気がついたのだが、前回の筆者レポートで要望していたカーソルキーによるアバター操作がサポートされていたり、サブ・ウィンドウが半透明化されチャット時にも背景が見えるようになっていたりと、細かな点が改良されていた。

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 その他、3Di OpenViewer β2ではログイン時に表示されるプログレスバーの表示が、青から灰色へ変更され(筆者としては青の方が判別し易かったと思うが)、バーの長さも短くなったり、「設定」のサブ・メニューにキャッシュのクリア指定が可能になったりしていた。他にもオブジェクト表示が若干ながら変わった感じがしたり、表示速度も変わったような感じがしたので、細かなバグ修正も行われていたのだろう。
 今回のβテストの趣旨である3Di OpenSimへの負荷テストと言う割には、あまり負荷は無いようなテストだった感じがするのと、実際に本家OpenSimを運用していてサーバ負荷として感じるプリム(オブジェクト)数の数も少ないし、スクリプトが多数動作している訳でも無く、サーバへの負荷テストという意味では、滑り台へのアバター(ユーザ)による走行程度ではなく、もっとスクリプトを多用したテストの方が良かったのでは無いかと思った。
 また、βテスト終了後もログアウトしていないβユーザが見えており、恐らくビューアが何らかの原因でクラッシュしてしまい、そのまま再ログインをしなかったのだろう。しかしながら、βユーザの名前(「user testXXX」形式)から今回3Di社の実施したβテストには、少なくとも600人以上が参加していたことが判る。

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 今回の3Di社による3Di OpenViewer3Di OpenSim βテストでは、筆者が確認した限りで四つのRegionSim)が稼働していた。Region0Region3までが稼働しており、テレポートによって自由に行き来が可能だった。これら四つのRegionSim)が、一台の3Di OpenSimサーバで稼働していたのかどうかは調べなかったが、二回目のユーザ限定βテストで設置された木製滑り台のオブジェクトと同じく、どのRegionSim)かを判別するためのオブジェクト一個以外は、同じオブジェクトが設置されていた。
 一つは家のオブジェクトで、これをタッチすると「いらっしゃいませ~」と女性の声によるアナウンスが流れ、もう一つは机で、これをタッチするとチャットへ日本語による文字列が表示されるスクリプトが動作していた。それぞれのRegionSim)を区別する為のオブジェクトは、Region0Region3の順で「樹木」、大きな「椅子」、灰色の「兎」、「岩」となっており、特にスクリプトはオブジェクトへ組み込まれていなかった。

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 さて、ここからは3Di社による3Di OpenViewer3Di OpenSim βテストのメニューには無かった、筆者の独断による独自のβテスト内容をレポートする。上に掲載したスクリーンショットは、4月7日21時より行われた特定βテスターによる、多数のログイン・ユーザによる3Di OpenSimサーバ負荷テストの画面で、女性アバターが何名か見えるが、この女性アバターが3Di社のスタッフの方々である。他、多数見える男性アバターは、筆者も含めて全てがβテスターのユーザである。

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 この負荷βテストの際に、殆ど同じ時間帯にオリジナルOpenSim用純正ビューアと言っても過言ではない、「Hippo OpenSim Viewer」(Version 0.51)で筆者がログインしてみたのが、上に掲載したスクリーンショットである。筆者のアバターは、オリジナルのOpneSimで、デフォルトのアバターなのだが、3Di社スタッフの方々のアバターは、「雲」状態となってしまっている。また、何名かのβテスターのアバターは、メタボ体型の禿オヤジ・アバターになっているが、これは初期(古いバージョン)のオリジナルOpenSimデフォルト・アバターだ。
 現在では、通常の設定でこの古いデフォルト・アバターを指定できないくなっており、オリジナルOpenSimに搭載されているボット・ツールを動作させると、ボットのアバターがこのメタボ体型の禿オヤジ・アバターとなる。恐らく、3Di社が事前に同じアカウント名で、ボット・ツールによるテストを行った際のデータが、今回のβテストに残っていたのではないかと思う。また、雲のアバターは、オリジナルOpenSimでもアセット・サーバが不具合を起こすと発生することがあり、正常にアバターのスキンやシェープのデータが取得出来ない場合に発生する現象である。

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 次に、上へ掲載したスクリーンショットは、二度目(4921時より)に行われた限定βテスターによるサーバ負荷テストに用いられた、木製滑り台の上部へ設置された金属球の供給用オブジェクトである。負荷βテストが終了の後、一つのRegionSim)だけオブジェクトが撤去されずに残っていたので、筆者単独で評価して(遊んで)みた画面だ。

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 そして、同じ場所へHippo OpenSim ViewerVersion 0.51)でログインしてみた際のスクリーンショットが、上に掲載した画面だ。3Di OpenViewer β2と、殆ど同じ様にオブジェクトのテクスチャも表示されているし、オブジェクトの形状も同じに見える。もちろん、アバターは違って表示されるのだが、これはOpenGLによる描画と3Di OpenViewer β2によるDirectXによる描画の違いだと思われる。3Di OpenViewerと同様に、アバターの描画がOpenGLDirectXで異なる(表示切り替えが可能な)ビューアに、「RealXtend Viewer」があるので、3Di OpenViewer特有の現象とも言えない。

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 ところが、3Di OpenViewer β2では正常に見えるオブジェクトであっても、Second Life互換のビューアでは全く違って見えてしまうオブジェクトも存在する。上のスクリーンショットでは、木製滑り台の左側に(タッチすると「いらっしゃいませ~」と喋る)家のオブジェクトと、右側には小さめに見える岩のオブジェクトがあるのだが、これをSecond Life互換のビューアで見ると、両側のオブジェクトは全く異なった形状に見えてしまうのだ。

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 実際にSecond Life互換のビューアであるHippo OpenSim ViewerVersion 0.51)でログインしてみた際のスクリーンショットが、上に掲載した画像だ。左側の(タッチすると「いらっしゃいませ~」と喋る)家のオブジェクトは、小さなキューブのプリムに見え(タッチしても喋らないので、スクリプトの互換性も無いのか?)、右側の小さな岩のオブジェクトは、大きなキューブのプリムに見えてしまう。
 また、外側に円形の垣根が設置されていたのだが、これもSecond Life互換のHippo OpenSim ViewerVersion 0.51)では、発光するリング状のオブジェクトとして見えている。恐らく、これらのオブジェクトは、3Di OpenSim独自仕様のオブジェクトなのだと思われる。3Di OpenSimでは、転送効率の良い独自形式のオブジェクト作成が、オリジナルOpneSimに対して拡張されているので、この3Di拡張独自オブジェクト(データ)の描画は、当然ながらSecond Life非互換となってしまっているのだろう。

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 最後に、3Di OpenViewer β2の互換性評価を行ってみた。これまでの評価では、全て3Di OpenViewer β23Di OpenSim βサーバへのログインを行っていたわけだが、本家OpenSimサーバへのログインを行ってみた。ログインに使用したのは、筆者宅で稼働中のOpenSimサーバで、「OSGrid」へ接続しているRegionSim)群である。当然ながら、本家OpenSimサーバは、Second Life互換サーバなので上手くログインして使用できれば、Second Lifeへの接続も3Di OpenViewer β2で行える可能も高い。
 ログインした結果はと言うと、3Di OpenViewer β2によってOSGridへのログインは可能なのだが、アバター表示が雲アバターになってしまい、土地のテクスチャも正しく表示されない不具合が発生した。ログインした筆者のサーバRegionSim)から、他の筆者のRegionSim)へのテレポートも問題なく行えたのだが、設置してある多数のオブジェクトは全てピンク色や(スカルプテッド・プリムは)オレンジ色となってしまい、正しくテクスチャが表示されないだけではなく、連結してある複数のオブジェクトもベースのオブジェクトしか表示されないという状態だった。

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 オリジナルのOpenSim3Di OpenViewer β2によってログインした場合、オブジェクトが正しく表示されない点と、テクスチャが全く表示されない点、アバターのスキンとシェープが正しく読み込まれない点以外は、3Di OpenViewer β2の機能は正しく動作しており、チャットもテレポートも問題なく行えることを確認した。最初に3Di OpenViewer β2でログインする場合、必ず最後にOSGridからログアウトしたRegionSim)へログインする(これは、3Di OpenSim βサーバでも同じ)ことになるので、実験する場合には、予めHippo OpenSim ViewerなどでOSGridへログインして、自分のRegionSim)からログアウトしておけば良いだろう。

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 ちなみに、Hippo OpenSim ViewerVersion 0.51)でログインした、OSGrid筆者のサーバRegionSim)は、上に掲載したスクリーンショットの様に問題なく、全てのオブジェクトやテクスチャが正しく表示される。これらの事から判断すると、(現状では)3Di OpenViewer β2は、3Di OpenSim βサーバ専用のビューアであり、Second Lifeは勿論の事オリジナルOpenSimサーバ用ビューアとしては使用出来ないと判断せざるを得ないだろう。
 当初、筆者は「3Di OpenViewer」を同じ名前を持った、オープンソースのOpenViewer」プロジェクトをベースとしている、汎用のSecondLife互換ビューアかと想像していたのだが、どうやら3Di OpenViewerの「Open」は「3Di OpenSim」サーバ専用ビューア(3Di OpenSim専用Viewer)の意味だったらしい。この事は、3Di OpenViewerβ版のActiveXモジュールをインストールした際、MS C++のランタイムも一緒にインストールされたことで気がついた。オリジナルの「OpenViewer」プロジェクトは、オリジナルOpenSim同様にC#で記述されているからだ。
 願わくば、今後の更なる3Di OpenViewerの改良を加えて、是非ともSecond Life互換の真のOpenViewerへと進化して欲しいと筆者は思う。今回の3Di OpenSim」と、専用ビューアとなる「3Di OpenViewer」のβテストは、昨日の時点で終了してしまったが、先月まで3Di社からダウンロード可能だった「3Di OpenSim Enterprise Version 1.0 Betaも、筆者の手元にはありWindows 2008 Serverへインストールしてあるので、引き続きローカルのネットワーク環境で評価を行ってみるつもりである。

 

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