ASUS Eee PC 1002HAE
先月末に紹介した、晋遊舎刊のムック「Linux 100% (Vol.9)」誌の記事用に、評価用としてLinux 100%編集部経由で借用したNetbook PCは、前回の記事を執筆するときに借用した台湾ASUS社の「Eee PC 1000HE」ではなく、同じ台湾ASUS社の「Eee PC 1002HAE」を今回は借用させていただいた。僅か一週間という短い評価期間であったが、さすがにネットブックPCの老舗であるASUS社製の製品なので、特に不満な点も殆ど無く快適に評価を行うことができた。
筆者の執筆したLinux 100% (Vol.9)誌では、ASUS社の「Eee PC 1002HAE」のハードウェアのレビューに関しては、全く触れておらずGoogle Android(cupcake)の動作関連と、ASUS社のNetbook PCに共通するBIOS設定(USBフラッシュメモリからのブートやSDスロットからのブートなど)に関してのみ説明しているので、前回のASUS社の「Eee PC 1000HE」と同様に、今回もASUS社「Eee PC 1002HAE」のレビューをお届けしておこう。
ASUS社製「Eee PC 1002HAE」のパッケージは、PCらしからぬシックな黒一色のパッケージで、高級感を感じさせる。パッケージを見て直ぐにノートPCと判断できるASUS社製「Eee PC 1000HE」のパッケージとは全く違っており、同じASUS社製のNetbook PC(Eee PCシリーズ)とは思えないパッケージのデザインだ。
ASUS社製「Eee PC 1002HAE」の液晶ディスプレイ側ボディは、ヘアライン加工されたアルミ製で、非常に高級感があると共に剛性も高く、しかも滑りにくく指紋なども目立たない。液晶パネルも、ネットブック標準の10インチ(1,024ドット x 600ドットのSVGAワイド型液晶パネル)であるが、ノングレアの液晶パネルが搭載されているので、非常に見やすい。しかし、ベゼル部分は、黒いアクリル製でかなり部屋の照明を反射するため、出来ればベゼル部分も梨地の非光沢ベゼルにして欲しいところだ。
ASUS Eee PC 1002HAEのキーボードは、ASUS Eee PC 1000HEのキーボードと異なり、一般的なキートップを持った形状で剛性も十分あり通常の打鍵ではキーボードが撓む様なことは無かった。キー配列も一般的な配列であり、特にタイピングの失敗を多発するようなイリーガルな配列では無い。タッチパッドも大きく、クリック・ボタンも押しやすくパーム・レスト部分はアルミ製なので高級感もある。また液晶ベゼル部分には、ビデオカメラ(130万画素)が搭載されているのも、ASUS Eee PC 1000HEと同じだ。
ASUS Eee PC 1002HAEの電源スイッチや動作ステータス表示LEDなどは、キーボード上部に配置されており、この部分はASUS Eee PC 1000HEでは液晶ヒンジ部分に配置されていたのとは異なっている。USBポートは、側面に配置されており、片側のUSBは1ポートのみだが、オーディオの入出力ジャックが配置されている。USBポート(合計3ポート)とオーディオ入出力ポートだけが両側面に配置されており、他のI/Oポートは後部に配置されている点も、ASUS Eee PC 1000HEと大きくASUS Eee PC 1002HAEの違う点だ。
ASUS Eee PC 1000HEでは、後部の液晶ヒンジ部分にリチウム・イオン充電池パックが装着される形状であったが、ASUS Eee PC 1002HAEでは後部にI/Oポートが集中している。左からSDカード・スロット、VGAコネクタ、有線LANポート(RJ-45コネクタ)、電源入力、ケンジントン・ロック用ホールとなっており、一番右側には放熱用の排気口となっている。SDスロットに関しては、後部ではなく、右側側面にスロットを配置して欲しかったところだ。
ASUS Eee PC 1002HAEの裏面は、メモリ拡張用とHDD交換用のカバーがあるのだが、ビスの部分がシールで隠されており、この目隠しシールを剥がせば容易にメモリ・モジュールの交換やHDDの改装が可能だ。無論、メモリもHDDも標準的な規格なので、市販のメモリ・モジュールやHDD、SSDなどへの改装によるアップグレードが可能となっているのは言うまでもない。
ASUS Eee PC 1002HAEの裏面には、リチウム・イオン順電池パックも脱着可能な形で収納されており、この部分もASUS Eee PC 1000HEちは大きく異なっている。ただし、ASUS Eee PC 1000HEよりも電池容量が小さいため、連続稼働時間もASUS Eee PC 1000HEに比べると半分以下となっている。しかし、小容量の電池が標準なのでASUS Eee PC 1002HAEの重量は約1.2Kgと軽く、常に持ち歩く様なモバイル用途では、肩に負担がかからないのは有りがたい。
ASUS Eee PC 1002HAEの外部ACアダプタ兼充電アダプタは、ASUS Eee PC 1000HEに付属のアダプタと同一で、小型軽量のアダプタだ。しかし、ASUS Eee PC 1002HAEのボディカラーと合わせて、黒となっているので少し小型に感じ、見た目は重さがあるように感じるが、ASUS Eee PC 1000HEに付属のアダプタと同じ大きさで重さも同じだ。その他の機能としては、ASUS社製の他のEee PCモデルと同じで、Bluetooth 2.1 +EDRを内蔵し無線LANも標準で搭載している。
ASUS Eee PC 1002HAEに同梱される付属品は、ASUS Eee PC 1000HEの付属品と全く同じで、インナーケースやマウス、説明書などだ。付属のマウスは、AC電源アダプタと同じくASUS Eee PC 1002HAEのボディーカラーにあった、黒いマウスが付属しており、パッケージから、同梱品に至る全てが、統一されたカラーとなっており、一昔前の台湾製品では考えられない程洗練されており、逆に今の日本製品も見倣った方が良い位だ。
ASUS Eee PC 1002HAEは、前モデルの1002HAからAtomプロセッサがN270(クロック1.6GHz)からN280(クロック1.66GHz)へアップグレードされているので、若干ではあるがパフォーマンスが向上している。とは言え、チップセットがIntel 945GSEのままなので、グラフィック性能はお世辞にも高いとは言い難い。出来れば、デザインの違いだけのEee PCシリーズではなく、よりグラフィック性能の高い(約10倍高性能な)nVIDIA ION(GeForce 9400M)を搭載したEee PCを是非とも販売して欲しいと、筆者は願っているのだが。
最後に今回のLinux 100% (Vol.9)誌の評価で行った、ASUS Eee PC 1002HAEによる、Google Android(cupcake)の動作している写真を掲載しておく。現時点では、Google Android(cupcake)には複数のプロジェクトが存在しており、写真の一枚目は、Google Android(cupcake)による「Live Android」の起動画面だ。これは、USBフラッシュかSDメモリから、直接Androidを起動可能で、Ubuntuなどでもお馴染みのLive CDのAndroid版だ。
二枚目は、Google Android(cupcake)をSDメモリ・カードから起動した状態のASUS Eee PC 1002HAEで、ASUS Eee PC 1002HAEのBIOS Boot Selector(BBS)によって、SDメモリを起動デバイスに選んでいるため、本体内蔵のHDDには元からインストールされているWindows XP Home Editionが、そのまま残っているため、再起動によってWindows XPでもAndroidでも(もちろん、Ubuntuや他のLinuxでも)自由に選択起動ができる。
筆者の場合は、安価になったmicroSDメモリ・カードに、AndroidやUbuntuなどのLinux系OSをインストールし、機種に応じてSDメモリカード・スロット(Eee PC系)か、USBアダプタを介してUSBポートからの起動を行うのでが、BIOSのブート・メニューがASUS社製品では殆どのマザーボードやEee PCへ装備されているので、このブート・セレクター機能の有無もNetbookに限らずPCでは重要だと思っているので、ASUS社製品を個人的にも愛用している。
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コメント
いつも拝見させていただいております。
普段はLOOXU+NAVIN'YOU+HoluxGPSlim236にてPCカーナビ(バイクでカーナビ)を行っています。
最近老眼になってきたせいか、LOOXUの画面だとちょっときつくなっているところ、
最近ネットでPCカーナビに最適?と思われる製品を発見、購入しようかどうか迷っています。
Brule Viliv X70
http://www.brule.co.jp/umpc/x70.shtml
という製品ですが、7インチの大画面(LOOXUに比較して!)にBLUTOOTH搭載、車載キットもあるということ。バッテリー駆動時間が長いのも魅力です。バイクの車載としてはこれ以上の大きさだとまたきつくなってしまいます。
プロの目からごらんになった感想を是非紹介してください。
投稿: ラッキーストライク | 2009年10月 7日 19:30
ラッキーストライクさん、こんばんは、
>最近ネットでPCカーナビに最適?と思われる製品を発見、購入しようかどうか迷っています。Brule Viliv X70
7インチ液晶で1024 x 600の解像度であれば、ドットピッチは0.15mmで約170dpiですね。
Eee PCなどの10インチ液晶では、同じ解像度ですから、ドットピッチは0.214mmで約119dpiとなりますので、見やすさという点ではやはり10インチが(文字)が見やすいと思います。
ただ、バイクへ搭載となると7インチが確かに最大サイズかなと私も思います。Brule Viliv X70は、SSDなので振動に弱いHDDで無いのもバイク向きですね。
メモリも1GB標準ですし、Windows XPなら快適に動作すると思います。加えてGPSもSiRF Star IIIなので内蔵アンテナが悪くなければ感度もよいかと思います。
とは言え、実機を見てないので何とも言えませんが、スペック上は良いUMPCだと思います。
私も最近は高精細な小型液晶には難儀してますので・・・ (苦笑)実機での見やすさを必ず確認してから購入するようにしています。
投稿: 清水 隆夫 | 2009年10月 7日 22:32
ありがとうございました。
現在使用しているPC+GPSは機能的には満足しているのですが、なにせLOOXUはもっと高解像度なのでNAVIN'YOUに電話番号の検索入力などしよう物なら全然番号が見えなくて・・・
GPSのスペックもよいということでちょっと期待できますし、SSDがバイク向きというのも魅力です。
キーボード入力にちょっと不安がありますので、確かに実機を見れる場所があるといいのですが。
投稿: ラッキーストライク | 2009年10月 8日 18:01