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2010年4月30日

u-blox EVK-CK

 筆者としては、久々のGPS機器のレポートをお届けする。今回レポートするのは、ユーブロックス ジャパン(株)社の開発用評価機キット、「u-blox EVK-CK」だ。u-blox社は、GPS受信機用のチップ(GPSエンジン)を開発している半導体メーカであり、今回の様な製品を本来は提供する製品メーカでは無い。u-blox EVK-CKは、「キャプチャー&プロセス評価キット」で、GPSチップ「UBX-G0011」シリーズやキャプチャー&プロセス用の「YUMA」を性能評価の為のデバイスだ。

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 u-blox EVK-CKは、一言でいえばデジタルカメラ用の位置情報付加デバイスで、多くのGPSデータ・ロガーがサポートしている、デジタルカメラ画像へのジオタグ(GeoTag)を書き込むための機能に特化した、デジタルカメラ(特にデジタル一眼レフ向け)用のGPSデータ・ロガーだと言える。しかし、他のGPSデータ・ロガーと大きく異なるのは、u-blox EVK-CKが搭載しているGPSエンジンが、GPSのリアルタイム測位を行うチップではなく、後処理専用のGPS受信機データ・ロガー・チップである点だ。

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 今回、筆者が評価を行ったデジタルカメラ(特にデジタル一眼レフ向け)用のGPSデータ・ロガーのユーブロックス ジャパン(株)社u-blox EVK-CK」は、プラスチック製のキャリング・ケースに収められており、中にはスポンジによる緩衝パッキンに、u-blox EVK-CK本体と、デジタルカメラへ装着するためのストロボ用ホットシュー・アダプタが納められている。その他は、PCとの接続用USBケーブル(u-blox EVK-CKの充電にも使用)と、PCとMac用の専用アプリケーションが納められたCD-ROM、簡単な説明書で一式だ。

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 u-blox EVK-CKに付属のCD-ROMや、説明書は日本語化されているので、海外向けの評価キットではなく、日本国内向けとなっている。当然ながら専用ツールも日本語化されているのだが、一部のツールは英語版となっているが、実際のu-blox EVK-CKの評価には日本語化されているツールを用いれば良いので、問題はない。CD-ROMには、詳しい説明書も収録されているので、使用に戸惑うことも全く無かった。
 ただし、ツール自体が、Windows 7の64ビット版へのインストールができなかったので、筆者の場合はWindows XPの32ビット環境へインストールを行った。Mac OSへのインストールは、現時点では行っていないのだが、別の機会にMac OS Snow Leopard環境での評価もしてみる予定だ。

クリックで拡大表示 Ublox_evkck_4

 u-blox EVK-CKの本体は、小型のGPSデータ・ロガーと殆ど同じ大きさで、電源はリチウムイオン充電池が内蔵されている。本体へは付属のストロボ用ホットシューへのアダプタを装着して使用する。一般的なホットシューへは、標準のアダプタで良いのだが、ソニーのデジタル一眼レフカメラは、特殊なホットシューが採用されているので、その場合には付属のアダプタを併用することになる。
 u-blox EVK-CKの側面には、ラバー製のキャップがあり、このキャップを外すとUSBコネクタが現れる。u-blox EVK-CKの充電には、このUSBコネクタへ付属のケーブルをつないで、PCと接続することで充電が開始される。充電が開始されると、本体のLEDが点灯し、充電状態であることが判る。

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 また、u-blox EVK-CKの側面には、「キャプチャ」ボタンが装備されており、このボタンを押すことで、デジタルカメラのシャッターを切る事なく、任意の場所の位置情報を記録することも可能だ。リセットスイッチの穴が、反対側にあるのだがこのリセットによってu-blox EVK-CKが初期化される様なのだが、現時点では不安定な動作をしていないので、特に使用するケースは無かった。
 u-blox EVK-CKの使い方は簡単で、デジタル一眼レフ(一眼でなくてもホットシューのあるデジカメなら使用可能)のホットシューへ充電が完了した本体を装着して、後はシャッターを切るだけで、撮影した画像に同期してu-blox EVK-CKの内蔵メモリへ、位置情報の生データが記録される。従って、撮影前にデジタルカメラ側の内蔵時計を、正確に合わせておく必要があるだけだ。

クリックで拡大表示 Ublox_evkck_6

 今回筆者が試用したu-blox EVK-CK/UBX-G0011の特徴は、一般的なリアルタイム測位のGPSでは、GPS受信機を紹介衛星の捕捉から、測位データの取得まで時間を要するケースが殆どだが、u-blox EVK-CKの場合はGPSエンジン(UBX-G0011シリーズ同等)がシャッターが押された瞬間に、GPSからの情報を記録するだけなので、測位に必要となる計算やGPS測位に必要な最低3個のGPS衛星を捕捉する必要もないため、GPSを意識することなく撮影に専念できる。
 u-blox EVK-CK/UBX-G0011の後処理方式は、「YUMA」と呼ばれるかなり大規模なシステムによって、正確なGPS受信機を紹介後処理測位が可能となっている。YUMAでは、u-blox社の専用サーバに、GPSのデータを記録保存して、そのデータとUBX-G0011シリーズによって得られたGPSデータの照合を行い、時間と場所をサーバのGPSデータより演算して、あたかも撮影(記録)した時点で測位を行ったかの様な、測位結果が高速に演算されてアプリケーションに返されるのだ。
 これは、専用アプリケーションでu-blox EVK-CKから受信データを取り込み、デジタルカメラで撮影した画像の時間との照合によって、殆ど手間いらずでジオタグの埋め込みが行われるので、一般的なGPSデータ・ロガーに付属している、ジオタグの埋め込みと比べても、全く遜色ない手軽さで行われるので、撮影時にGPSの測位を気にする必要が無いぶん、u-blox EVK-CKの方が手軽かもしれない。
 最新のデジタル一眼レフ・カメラでは、専用オプションとしてGPS受信機が用意されているメーカや、機種によってはGPS受信機を接続できるモデルもあるが、u-blox EVK-CKを用いれば、すべてのデジタル一眼レフ・カメラや、ホットシューを装備しているデジタルカメラで、簡単にジオタグを撮影画像に付加できるため、愛用のカメラを買い換える事なく使い続けられるのはありがたい。
 u-blox EVK-CKの後処理用アプリケーションとなるYUMAをサポートした専用ソフトや、実際に撮影した画像などのレポートは、機会を改めてお届けするが、このu-blox EVK-CK評価キットの製品版が、Birora(ビロラ)社より「PhotoGeotagger GT01」として販売されているので、GPSによるジオタグが手持ちのデジタル一眼レフ・カメラではサポートされていない方は、入手してみるのも良いだろう。
 


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コメント

U-bloxで検索して来ました。小さいPC
N5が使ってます。
http://brule.co.jp/umpc/n5.shtml
これで、使えるナビソフトとか、知りませんか?なんか詳しい方みたいなので。
お邪魔しました。

投稿: たけちゃん | 2010年6月28日 00:25

たけちゃん、こんばんは、

>これで、使えるナビソフトとか、知りませんか?なんか詳しい方みたいなので。

Windows 7に対応したのが、新発売になってますね。

http://www.incrementp.co.jp/release/topics/2010/2010.html#20100625

他の電子地図ソフトだと、ルート・ガイドが出来なくて、自分の位置だけをGPSで表示するだけなので、それでもよければ選択肢は増えます。

投稿: 清水 隆夫 | 2010年6月28日 18:21

お礼が遅くなりすみません。
参考にさせて頂きます。
有難うございます。

投稿: たけちゃん | 2010年7月12日 16:58

YUMAサービスに対するEnd of Life noticeがu-bloxのページに出ていて、2015年9月30日までの対応となるようです。

http://www.u-blox.com/images/downloads/Product_Docs/YUMA_EOL_%28UBX-TN-12051%29.pdf

このデバイスはこの日までの寿命となってしまうのでしょうか、それともYUMAの代替となるAssistNowを使って延命するのでしょうか。何か情報がありましたら教えていただけませんか?

投稿: ささのたかよし | 2012年12月15日 17:10

ささの さん、こんにちは、
ブログのチェックを怠っておりまして、コメントが亀レスになってしまいました。お許しください。

で、YUMAサービスの終了アナウンスは、小生にもプレス向け案内が来ておりました。

このデバイス向けに代替えの機能は提供されない模様ですので、当然ながらデバイスはサービス終了と共に、使用不可能となります。

YUMAに限らず、クラウドのサービスを使用する場合は、この様にデバイス自体が使えなくなるケースが、今後は増えてきそうですね・・・

やはり、クラウド・サービス専用機器というのは、長く使える単独GPS機器の方が、デバイス寿命まで使えるので安心ということになるのでしょうね。

投稿: 清水 隆夫 | 2013年1月 7日 10:40

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