Ubuntu nVIDIA Driver
日本の大型連休(ゴールデンウィーク)直前にリリースされた、Ubuntu 11.4であるが、日本は連休ということもあり、Ubuntuユーザのみならず、WindowsユーザもLive CDやLive USBによる、Ubuntu体験をしている方がいるかもしれない。ただし、Live CDやLive USBによる起動では、Ubuntu 11.4の最大の特徴であるUnityデスクトップでの起動ではなく、従来通りのGNOMEデスクトップでの起動になるので、Unityデスクトップを体験したいのであれば、是非HDDへのインストール(Windowsとのデュアル・ブート環境)か、USB/SDメモリへのインストールをお勧めする。
USBメモリやSDメモリ・カードへインストールする場合は、4GB~8GB程度の容量があれば、問題なくインストールが可能で、PCをブートする際に、BIOSのブート・マネージャ(ESCキーかF8キーで開く)から、SDメモリかUSBメモリを起動デバイスに選べばUbuntu 11.4が起動する。
さて、Ubuntu 11.4では、Unityデスクトップの快適な使用には、それなりのパワーを持ったGPUが必要になるが、グラフィック・カードの定番であるnVIDIAかATI(AMD)であれば、余程古いカードでなければ問題ないだろう。ただし、最初の起動ではグラフィック・ドライバがインストールされない場合が殆どなのだが、起動された段階でnVIDIAやATIのドライバをインストールするように推奨されるので、そのまま組み込めば良い。
冒頭に掲載したスクリーン・ショットは、Ubuntu 11.4で推奨されたnVIDIAのドライバによるコントロール画面だ。Windows版に似た画面デザインであるが、細部は多少異なっている。また、標準で組み込まれるドライバは、nVIDIA用では英語版となってしまう。日本語版の組み込みも可能なのだが、特に機能的には問題が無いので、筆者はそのまま英語版のまま使用している。上に掲載したスクリーン・ショットでは、GPUの温度やクーリング状況などを表示したところだ。
ただし、このnVIDIA用ドライバの問題点として、以前のUbuntu 10.10や10.4でも同様だったのだが、GPUのパフォーマンスが低い状態がデフォルトになっている点だ。上に掲載したスクリーン・ショットを見ていただくと一目瞭然なのだが、本来のGPU性能を半分以下(グラフィック・クロックが300MHz/740MHz、メモリ・クロックが100MHz/1100MHz、プロセッサ・クロック600MHz/1836MHz)に設定されている。この状態は「Adaptive」のモードであり、Untitデスクトップの操作では問題ないが、3Dアプリケーションでは体感的に遅く感じる。
本来のnVIDIA製のGPU最高性能に設定を変更するには、「Performance Mode」を「Prefer Maximum Performance」モードへ設定を変更すれば、定格の性能モードとなり本来のグラフィック・カードが持つ最高性能へとGPUやメモリなどのクロックが引き上げられる。しかし、この設定をデフォルトで保存することは、nVIDIAのコントロール・パネルからは出来ないので、必要であれば設定ファイルを手動で書き換える必要がある。
もっとも、昨今の電力不足状況では、むしろ省エネ設定のデフォルト状態の方が好ましいので、筆者は以前は書き換えて最高性能で起動させていたのだが、今回はデフォルトで使用することにした。従来は、SLI使用で二枚のグラフィック・カードを装着していたが、これも省エネの一環で、現在は一枚のグラフィック・カード構成としている。
また、今回のUbuntu 11.4で導入されるnVIDIA用ドライバは最新版であり、nVIDIAのサイトからダウンロードしたドライバと同じバージョンだったために、そのまま使用したのだが、必要であれば、nVIDIAのサイトからダウンロードして組み込むことも可能だ。nVIDIAのサイトのダウンロードページとり、手持ちのグラフィック・カードの型番から、Linux用(32ビットと64ビット版がある)のドライバをダウンロードすれば良い。ちなみに、ここからダウンロードしたドライバは、コントロール・パネルも日本語化されているので、日本語版が必要な場合には、同様にnVIDIAのサイトからダウンロードして組み込めばよい。
実際に、「Adaptive」と「Prefer Maximum Performance」を、3D描画を行うOpenSim/Second Life用のビューア「Imprudence Viewer」の64ビット版(Version 1.4.0 Final Experimental Release)で切り替えながら使ってみたが、体感的には「Adaptive」が遅いのだが、使えない速度ではなかった。しかし、小さなウィンドウではなく、フルスクリーン表示にした場合には、やはり「Prefer Maximum Performance」の方が滑らかな表示をしてくれる。
上に掲載したスクリーン・ショットは、OSgridへ接続している筆者のRegion(Sim)へログインした際の画面だが、ついでにOpenSimの状況などをレポートしておこう。現在、OpenSimのバージョンは、Version 0.7.2が開発版となっている。
稼働しているOpenSimのバージョンを知るには、ビューア「Imprudence Viewer」のヘルプから「About Imprudence」を表示すればよい。Imprudence Viewerのバージョンと共に、現在いるRegionのサーバ・バージョンなどを表示してくれる。これは、Second Lifeでも同様であるし、ベースとなっているSecond Lifeビューアでも同じ機能を持っている。
ちなみに、この筆者がOSgridへ接続しているOpenSimサーバは、筆者がOpenSimのサイトからソースコードを入手して自分でコンパイル・ビルドを行ったものだ。
こちらのスクリーン・ショットは、友人宅で稼働しているOpenSimサーバで、同じくOSgridへ接続しているRegionだ。筆者宅と同じハードウェアで稼働しているOpenSimサーバで、安価なUPS内蔵のPCだたが、トラブルも全くなく、今も元気に24時間365日稼働し続けている。ちなみに、メモリが1GB(MAX)しか搭載していないので、稼働OpenSimサーバで構築しているRegion(Sim)の数は5個である。
こちらのOpenSimサーバのバージョンは、OSgridで配布されている最新版で、OpenSim Server Version 0.7.1 RC2だ。現在、OpenSimで安定版として配布されているバージョンは、OpenSim Version 0.7.0.2であるが、間もなくVersion 0.7.1が公式にリリースされるだろう。現在は、RC2版としてOSgridなどで最終評価とバグの洗い出しを行っている真っ最中だ。恐らくは、連休明けにはVersion 0.7.1として正式に公開されることだろう。こちらも、今から楽しみである。
OSgridへ接続している日本人が運用しているOpenSimサーバ群の各Region(Sim)では、東日本大震災以後、応援のバナーを各Region(Sim)へ設置して、日本の復興キャンペーンを自発的に行っている。実際に被災した方のOpneSimサーバも、現在では復活しており実際の東北地方も、同じように復活するのは時間の問題だろうと思う。実際、OSgridで海外の方とチャットをする機会も多く、その時にバナーを見て寄付をしたという暖かい言葉も聞かれ、小さな事だが被災された方々への思いが通じて、筆者も嬉しかった。
ちなみに、OSgridでは仮想通貨が存在しないので、寄付などの行為をOSgrid内で行うことは出来ないため、Second Lifeと違って詐欺まがいの行為も行えない。また、今回のスクリーン・ショットは、全てUbuntu 11.4で撮った画像であるが、言うまでもなくビューア「Imprudence Viewer」は、WindowsやMac OS Xでも動作するので、OSgridへログインするには、UbuntuなどのLinux OSを使用する必要は無い。OpenSimサーバも同様に、Windows、Linux、Mac OS Xで稼働するので、プラットフォームを選ばないのも特徴である。
大型連休も、明日は休日ではないが後半に入るので、時間があればOSgridへユーザ登録して、ログインしてみては如何だろうか。また、OpenSimサーバを動かしてみるのも、面白いと思うので、試してみて欲しい。
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